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【周永康氏失脚】中国内外に衝撃 「危険な大物」500日かけ追い詰める

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【周永康氏失脚】中国内外に衝撃 「危険な大物」500日かけ追い詰める

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中国共産党の大物政治家、周永康氏(前政治局常務委員)をめぐる構図=2014年7月30日現在  中国共産党の大物政治家、周永康氏(71)の失脚が発表された。最高指導部の責任を問わないという長年の不文律が破られ、国内外に衝撃が走った。中国の権力中枢で何が起きたのか検証する。

 300人以上を拘束

 習近平体制が発足してから1カ月もたっていない2012年12月6日。中国共産党の党紀違反を取り締まる中央規律検査委員会のホームページに、「李春城・四川省党委員会副書記が重大規律違反容疑で取り調べを受けている」という知らせが掲載された。党関係者の間で衝撃が走った。

 当時、四川省ナンバー3の李氏が次期河南省長に内定したことは香港メディアで報じられていた。さらに李氏は約3週間前に閉幕した党大会で中央委員候補に選出されたばかりだった。

 唐の詩人、杜甫は「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」との詩を残した。中国共産党内の権力抗争でいつも使われる手法でもある。大物政治家を失脚させるのに、まずその周りから粛清し、丸裸にしてから本丸を攻めるやり方だ。「李氏を突破口に、新政権は周永康を狙っている」。そう感じ取った党関係者は少なくなかった。

 李氏が、胡錦濤政権で序列9位の大物政治家である周・前党政治局常務委員の側近ということはよく知られていたからだ。周氏が四川省トップの党委員会書記を務めていた2000年ごろに、李氏は成都市長として支えた。周氏の経済問題を最もよく知る人物の一人だと言われている。

 李氏失脚から間もなくして、蒋潔敏・国有資産監督管理委員会主任、李東生・公安省次官ら周氏の腹心といわれる人物が次々と拘束された。中国メディアの統計では、今年7月までに周氏の元部下や親族ら300人以上にのぼる。そして李春城氏からスタートした周氏失脚劇は、今月(7月)29日に終了。500日以上もかかった計算になる。習国家主席はなぜ、ここまでして周氏を追い詰めなければならなかったのか。

 江氏との関係悪化

 共産党筋はその理由を以下のように説明する。まず、周氏は12年に失脚した薄煕来・元重慶市党委書記(65)と極めて近い関係にあり、以前、薄氏を最高指導部入りさせようとさまざまな画策をしたことがあった。薄氏は服役中だが、若者や貧困層の間ではいまだに人気。警察や情報部門に大きな影響力を持つ、薄氏の盟友・周氏を温存させることは習政権にとって危険だったというのだ。

 また、12年11月に発足した習体制は、政治運動として反腐敗キャンペーンを展開し、「ハエもトラも同時にたたく」と国民に宣言。周氏クラスの大物政治家を失脚させることで、国民に対し反腐敗の決意をアピールする狙いがあったともみられている。そして重要なことは、江沢民派の重鎮として知られた周氏と、元国家主席である江氏本人の関係が最近良くなかったことだ。

 香港紙などによると、周氏の最初の妻は江氏の親族だが、周氏は2000年ごろ、交通事故と見せかけて殺害。元テレビキャスターの現在の妻と結婚するためだったとされる。最近、この事実を知った江氏は激怒し、周氏の摘発に同意したという。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記(31)は、権力掌握をアピールするため、叔父である張成沢(チャン・ソンテク)氏を粛清。習氏にとって、周氏の失脚は同じような意味をもっていると指摘する声もある。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS

 ≪「1.5兆円の財産押収」と報道≫

 香港フェニックステレビは7月30日、中国当局が、最高指導部元メンバーで重大な規律違反で調査を受けることが決まった周永康氏本人と家族から900億元(約1兆5000億円)相当の財産を押収したと報じた。別のメディアを引用する形で伝えた。

 周氏の調査決定に関する29日の発表は、周氏に共産党員への呼称である「同志」を付けず呼び捨てにしており、党中央は周氏の党籍剥奪や刑事責任追及に向けた準備を進めているとみられる。

 一方、ロイター通信は指導部に近い関係者の話として習近平指導部が周氏の調査について、江沢民元国家主席(87)と胡錦濤前国家主席(71)の同意を得ていると伝えた。中国メディアによると周氏の家族は、周氏の政治的な影響力を背景に石油、不動産、金融などの分野で事業を展開、巨額の利益を得ていた。息子は「違法経営」の疑いで逮捕が決まっていると報じられており、周氏は収賄などの犯罪に問われる可能性がある。

 中国各紙は30日「トップのトラが不正でおりに閉じ込められた」(英字紙チャイナ・デイリー)などの見出しを付け、一斉に周氏批判を展開。習指導部の意向を受けた報道とみられる。(共同/SANKEI EXPRESS

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