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節約掲げる南京ユース五輪に2つの狙い

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節約掲げる南京ユース五輪に2つの狙い

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中国・河北省張家口市  【国際情勢分析】

 日本オリンピック委員会(JOC)は今月(7月)17日、8月16日から26日まで、中国江蘇省の省都、南京で開催される第2回ユース五輪に参加する日本選手団の主将に卓球男子の村松雄斗(ゆうと、17)=エリートアカデミー、旗手にバドミントン女子の山口茜(あかね、17)=福井・勝山高=が決まったと発表した。新聞の片隅にも載らぬほど、日本国内での南京ユース五輪への注目度は低いようだが、北京市と河北省張家口市が2022年冬季五輪の招致(共同開催)に乗り出している中国にとっては、重要なアピールの場となりそうだ。

 「人海戦術を採らない」

 南京ユース五輪組織委員会は7月22日、8月16日午後8時(日本時間午後9時)から行われる開会式の準備状況に関する記者会見を開いた。中国メディアによると、開会式の演出を担当する演出家、陳維亜総監督は席上、「今回の開会式の演出は“人海戦術”を採らない」と述べたという。

 五輪など国際競技大会の開閉会式は、回を追うごとにアトラクションの演出が派手になってきたが、2008年北京五輪開会式で張芸謀総監督を補佐した経験がある陳氏は、「南京ユース五輪の開会式の演技者は、これまでのトップクラスの大型イベントの中で最も少なくなる。北京五輪開会式の演技者は1万4000人に達したが、我々はその3分の1ほどでしかない」と説明した。

 開会式は五輪などと同様、式典とアトラクションの2部構成となる。アトラクションの参加者の95%は青少年で、南京芸術学院から選抜した舞踏専攻の学生500人が斬新なダンスを披露するという。陳氏は「今回の500人が発揮する表現力は、2000人以上の効果がある」と主張。中国メディアは「費用はここ十数年のトップクラスのイベントで最低となる」と“節約大会”を強調した。

 市民の不満をそらす

 “節約”を原則に掲げるのには、2つの狙いがうかがえる。1つはイベントに巨額の公的資金を投入することに対する、一般市民の不満の矛先をそらすこと。そして、もう1つが、五輪の肥大化という現状の改善を迫られている国際オリンピック委員会(IOC)に向けたアピールだ。

 来年7月に開催地が決まる2022年冬季五輪の招致レースは、膨らむ開催費用や住民の反対などで、多くの都市が立候補を断念する事態に陥った。結局、最終選考に残ったのは北京のほか、カザフスタンのアルマトイ、ノルウェーのオスロの3都市。今後、五輪開催に名乗りを挙げる都市がなくなるのでは、といった懸念もささやかれている。

 今回、開催費用を抑えつつ、順調に大会を開催できれば、IOCの方針を支持し、順守する姿勢を示すことができる。22年冬季五輪招致では、08年北京五輪で使用した競技施設の再利用などを根拠に“節約”を唱っているが、さらに「中国」のイベント開催能力を印象づけられる。

 主題の1つに「中国の夢」

 かつて一度、国際競技大会で式典が大幅に簡素化されたことがある。04年に行われたアテネ・パラリンピックの閉会式だ。

 閉会式前日、大会観戦に向かう途中の高校生を乗せたバスが、トラックと正面衝突し、7人が死亡した。組織委員会は追悼のためにアトラクションを中止。黙祷で始まった閉会式は、選手団の行進、国際パラリンピック委員会(IPC)会長のあいさつ、次回開催都市へのパラリンピック旗の引き渡し、聖火を消すことなど、IPCの規定で実施が定められたものに限られた。哀しみに包まれた式典ではあったが、短時間に凝縮され、最も印象に残る式典となったことを覚えている。

 北京五輪の開会式では「口パク」や花火の合成映像などが問題となった。10年広州アジア大会の開会式では、総合演出を担当した陳氏が娘を炬火の点火者に起用して、「大会を私物化している」などの批判が沸騰した。

 南京ユース五輪の開会式は、習近平国家主席(61)が繰り返し口にしている「中国の夢」が主題の1つになるという。数に頼らず、カネに頼らず、どんな開会式を見せてくれるのか、お手並み拝見だ。(中国総局 川越一(かわごえ・はじめ)/SANKEI EXPRESS

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