SankeiBiz for mobile

中国「重大テロ」 ウルムチでまた爆発、31人死亡

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

中国「重大テロ」 ウルムチでまた爆発、31人死亡

更新

 中国国営新華社通信などによると、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の中心都市、ウルムチ市中心部の朝市で5月22日午前7時50分(日本時間午前8時50分)ごろに爆発が起き、31人が死亡、94人が負傷した。中国政府は「重大テロ事件」と断定し、政府で国内治安を統括する郭声●(=王へんに昆、かく・せいこん)・国務委員兼公安相(59)を現地に派遣した。新疆ウイグル自治区でのテロとしては最大規模の惨事で、習近平国家主席(60)は連鎖的な事件発生の阻止を命じた。

 目撃証言によると、2台の車が朝市に突入し、買い物客らをはねた上、車内から爆発物を投げた。1台は爆発し、現場には爆発音が十数回鳴り響いたという。中国版ツイッター「微博」には、炎や黒煙が上がる様子などが流された。

 4月末にはウルムチ駅前で3人が死亡、約80人が負傷する爆発事件が起き、当局は新疆独立を主張するテロ組織が関与したと発表していた。雲南省の昆明駅でも3月、ウイグル族の犯行とされる無差別殺傷事件が発生。全国的に警備態勢が強化されていた。

 今回の容疑者の民族などは不明だが、突入した車両は独立派組織のものと似た黒色の旗を掲げていたとの情報もある。

 中国外務省の洪磊(こう・らい)報道官(44)は22日の定例会見で、ウイグル族の関与への言及は避けつつ、「今回の暴力テロ事件は、テロ分子の反人類、反社会、反文明的な本質を改めて示した。中国政府はテロ分子の気勢を叩(たた)く自信と能力がある」と訴えた。(北京 川越一/SANKEI EXPRESS

 ≪少数民族政策が破綻 習氏に焦燥感≫

 中国のウルムチで5月22日に発生した爆弾テロ事件は、習近平政権が主導する高圧的な少数民族政策が完全に破綻したことを強く印象づける。

 雲南省昆明市の駅前で3月、173人が死傷したウイグル族による殺傷事件の際、習主席は「事件の解決に全力を挙げ、暴徒を厳しく処罰せよ」と公安当局に再発防止を指示、多くのウイグル族が逮捕された。しかし、4月に習主席自身の訪問先であるウルムチで爆発事件が起き、メンツは丸つぶれとなった。「テロリストを徹底的に叩(たた)け」と習主席が治安当局に出した当時の指示からその焦燥感が読み取れる。

 4月の爆発事件では、容疑者の妻や弟など家族がみな拘束された。しかし、そのわずか3週間後、同じウルムチで再び爆弾テロ事件が発生。高圧的な手段が暴力を防げないことが証明された形だ。

 毎月のように発生する事件について、中国当局は「国外組織と結託した分裂勢力によるテロ」と説明している。しかし、ウイグル独立の動きは数十年前から存在しており、習政権が発足するまで、これほど頻繁に事件は起きなかった。政治的な理由よりも、現政権の少数民族と宗教政策が事件を誘発している可能性が大きいとみられる。

 ウイグル族を支援する北京の人権活動家によれば、習政権による取り締まり強化で、漢族と良好な関係を保ってきたウイグル族が多く拘束された。当局の間にパイプ役がいなくなり、ウイグル族の間で当局への不信感と不満が高まったことが背景にあるという。

 例えば今年1月に当局に拘束された中央民族大学の学者、イリハム・トフティ氏はウイグルの独立を主張しない穏健派で、胡錦濤時代までは政権に対し、少数民族政策で助言したこともあったという。しかし、ウイグル族への同情的な言動で習政権の逆鱗に触れ、国家分裂容疑で拘束された。

 先の活動家は、「トフティ氏までが逮捕され、ほぼウイグル族全員を当局の敵に回した形だ。ウイグル族の間で絶望感が広がったことが一連の事件につながったのでは」と分析している。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS

 ■ウイグル問題 イスラム教徒のウイグル族が多く住む中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区の分離独立をめぐる問題。この地域は1933年と44年に独立を宣言したが、49年に中国人民解放軍が進駐。55年に新疆ウイグル自治区が成立した。国営新華社系の時事週刊誌によると、自治区では2009年以来、独立運動などに絡む組織的暴力事件が毎年100件以上発生、12年は190件余りに急増した。当局は独立につながる活動を厳しく取り締まっている。(北京 共同)

ランキング