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BRICS首脳会議開幕 中露主導で開発銀新設へ 金融危機克服で自信 米覇権に挑む

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BRICS首脳会議開幕 中露主導で開発銀新設へ 金融危機克服で自信 米覇権に挑む

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国際金融秩序をめぐる構図=2014年7月15日現在、※(1)~(10)はIMF(国際通貨基金)への出資比率が高い順。カッコ内は世界のGDP(国内総生産)に占める割合。2013年版世界銀行報告書より  中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5カ国(BRICS)の首脳会議が7月15日、ブラジル北東部フォルタレザで開かれる。米国が主導する世界銀行に対抗する独自の開発銀行の設立が主要議題で、ブラジル外務省によると、今回の会議で設立協定に調印する見通し。本部の場所は上海が有力という。

 1944年のブレトンウッズ会議を受け、米国の強い影響下にある世界銀行と国際通貨基金(IMF)が戦後の世界経済の安定と復興を担ってきた。BRICSによる国際金融機関創設は、中国が提唱する「アジアインフラ投資銀行」と共に、70年が経過して制度疲労も指摘される現行秩序への挑戦という側面もある。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(61)は首脳会議に先立つタス通信との会見で、BRICSの役割を新たな段階に引き上げ、米国の一極支配への対抗軸とすべきだと表明。ウクライナ南部クリミア併合で受けた米欧の制裁による国際的孤立を回避する考えを明確にした。

 プーチン氏は、一部の国が全てを決めるモデルは「非効果的」だと強調、首脳会議でウクライナ情勢やイラク問題を協議する意向も示した。

 BRICSの開発銀行は、需要が爆発的に増えている途上国や新興国へのインフラ融資が目的。中国とロシアの主導で有力新興国が集い、独自の戦略を打ち出す。

 各国政府などによると、2015年に設立の見込みで、16年にも業務を開始するという。資本金は当初500億ドル(約5兆円)で、各国が100億ドルずつ拠出。資本はいずれ1000億ドルまで増強する。総裁職は各国で持ち回りになる見込みだ。また、5カ国は国際収支危機の際に外貨を融通し合う通貨交換協定でも合意する見通し。

 ≪金融危機克服で自信 米覇権に挑む≫

 IMF、世界銀行の創設を決めたブレトンウッズ会議から70年。ブラジルで7月15日に開幕のBRICS首脳会議では、米国の金融覇権に挑む開発銀行の設立を決める。政治腐敗や人権状況の改善を支援の条件にする国際機関のルールに、金融危機を乗り越えて自信を深めた中国など新興国が揺さぶりをかける。

 独占打破

 「中国と米国の新たな形の大国関係は新たな進展をみた。両国が手を携えて世界金融危機の影響に対処し、世界経済の回復を推し進めた」。中国の習近平国家主席(61)は(7月)9日に北京で開かれた「米中戦略・経済対話」で中国の貢献を強調した。経済力が新興国でも突出する中国は、2008年のリーマン・ショック直後に4兆元(約65兆円)の景気刺激策を発動し、欧米や日本に先駆けて経済を回復させた。

 新開発銀行について中国メディアは「世銀やIMFを通じた先進国による国際金融システムの独占を打ち破る」とする政府系研究者の声を伝えた。中国主導の「アジアインフラ投資銀行」構想では楼継偉財政相(63)が「中国が最大の出資国となる」とした上で「日本や欧米の参加も歓迎する」と発言。中国駐在の日本の金融機関幹部は「先進国も参加する国際金融機関を中国が牛耳る。それが中国の目標だ」とみる。

 資金需要

 第二次大戦中の1944年7月、連合国は米ニューハンプシャー州ブレトンウッズで戦後の国際金融秩序を決める会議を開き、米国の覇権を決定づけた。しかし今の米国は、財政再建を求める議会の抵抗で、国際金融機関への追加出資は事実上封印している。途上国の資金需要にも対応できず、米政府高官は「中国に懸念を示すだけで、対抗することはできない」といら立ちを見せる。

 国際金融機関も資金需要に対応できていない。アジア開発銀行(ADB)によると、20年までにアジアだけでインフラ開発に8兆ドル(約812兆円)の資金需要がある。しかし世銀グループの貸出残高は2689億ドル(13年6月末)、ADBはその5分の1程度だ。

 転換点

 「まったく中国の動きが見えない」。09年に内戦が終結、復興が進むスリランカの国際支援会合について外交筋は語る。招待状を中国の関係者に何度も送ったが、返事がないという。人権抑圧が懸念されるスリランカのマヒンダ・ラジャパクサ大統領(68)の地元に中国の国営銀行などが大量の資金を投下している。

 似た光景は世界中で見られる。世銀や経済協力開発機構(OECD)は人権、汚職、環境などで条件を付ける融資・支援基準を定めているが、そうした枠外で中国はアフリカやアジアの国に融資や保証をしている。世銀幹部は「中国が国際金融のルールを崩している」と述べ、新開発銀行がこの動きを加速させるとみる。

 5カ国は国際収支悪化時に資金を融通し合う協定も結ぶ見通しだ。ロシアは新しい枠組みに消極的だったが、ウクライナ危機で米国などの制裁を受けて以降「積極的になった」(国際金融筋)。中露以外のインド、ブラジル、南アフリカは国内で資金需要を賄えない経常赤字国で、新開発銀行による実利もある。(共同/SANKEI EXPRESS

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