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【公示地価】地価下げ止まり 成長持続・地方波及がカギ

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【公示地価】地価下げ止まり 成長持続・地方波及がカギ

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公示地価で東京都内商業地上昇率1位となった東京都新宿区新宿3-30-11付近=2014年3月14日(小野淳一撮影)  2014年の公示地価は3大都市圏が6年ぶりに上昇、全国平均も下落幅が大幅に縮小した。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による景気回復が、期待感から実感を伴う形になりつつある姿が浮き彫りになった。今後は成長を持続するとともに、地方に波及させることが課題になる。さらに一部で再来が懸念される不動産バブルの防止もカギを握りそうだ。

 3大都市圏の中でも上昇が際立つのが東京圏と名古屋圏だ。ともに企業の業績好転が地価を支えている。

 東京・丸の内のオフィスビルでは、昨年(2013年)後半から入居の相談が相次ぐ。「便利でステータスの高い場所に移りたい」との要望が増えており、運営する三菱地所は一部で賃料の引き上げに踏み切った。帝国ホテル(東京都千代田区)では今年に入り、法人中心の宴会需要が前年比10%増のプラスに転じた。

 東京都の商業地は平均2.3%の上昇と、都道府県では全国1位の上げ幅だ。都心部のオフィスの平均空室率は、2月で7%と8カ月連続で低下した。

 名古屋はトヨタ自動車と関連企業の業績が好調。名古屋駅周辺の再開発や今秋めどに着工予定のリニア新幹線への期待から付近の地価を10.1%押し上げた。

 住宅地は全国の調査地点のうち3割が前年より上昇した。昨年(2013年)の上昇地点はわずか8%だった。きっかけの一つは消費増税前の駆け込み需要だ。注文住宅は、現行5%の税率が適用される昨年(2013年)9月まで大幅に増加した。マンション販売戸数は住宅ローンの低金利などもあって昨年(2013年)は前年比12%も増えた。

 一方、地方圏の地価回復の動きが中核都市に波及しているものの、地方圏全体では商業地、住宅地とも調査地点の7割以上が下落しており、二極化が進む。津波被害が予想される沿岸部や、大規模店の撤退などで商業の空洞化が進む地域の下落幅が大きい。

 都市部との格差解消には「産業立地やITなどの活性化策を地方任せにせず、国がある程度ビジョンを示した上で実務を任せることも必要」と不動産協会の木村恵司理事長は話す。

 回復基調に入った日本の不動産市場だが、海外主要都市に比べればまだ割安とされる。総合不動産サービス会社「ジョーンズ ラング ラサール」の日本法人(東京)では昨年(2013年)、海外投資家による不動産投資の相談が前年より倍増した。「安定した運用先を探す年金基金などが増えた」と赤城威志リサーチ事業部長は話す。

 世界的な金融緩和も背景に、海外のリスクマネーが日本の不動産市場にも流れ込んでいる。日本が再び不動産バブルに陥る懸念はないのか。現時点では「その兆しはない」(不動産経済研究所の福田秋生企画調査部長)との見方が大半を占める。ただ、政府は国際通貨基金(IMF)の基準を活用して取引状況を早く正確に把握する「不動産価格指数」の実用化に乗り出し、バブルを未然に防ぐ取り組みに動き出している。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS

 ≪復興で需要拡大 福島県も22年ぶりプラス≫

 東日本大震災から3年たった被災3県の地価は、復興需要に加え、手控えられていた潜在需要が動きだし、上昇傾向にある。中でも東京電力福島第1原発の立地する双葉郡と同じ福島県沿岸部(浜通り)にあり、避難者の移住が進む、いわき市の住宅地は、全国上昇率ベスト10に3地点が入るなど回復が顕著だ。

 福島県は、県都の福島市や商都の郡山市でも値上がりした。原発事故の影響で、岩手、宮城県に比べて復興に出遅れ感があるものの、全用途平均で22年ぶりにプラスに転じた。

 自主避難も含め、福島県では今も約13万5000人が避難生活を強いられている。役場の機能を内陸部の二本松市や会津若松市に移した町もあるが、いわき市は、移住先として人気が高い。このため、いわき市は約32万7000人の届け出人口(3月1日現在)に、転入手続きをしていない避難者や原発作業員らも合わせた人口がバブル経済期後のピーク時(36万人台)に迫り、土地需要につながっている。

 市内の住宅地の上昇率は、中央台鹿島1丁目5番3(1平方メートル当たり4万9000円)が11.6%で全国2位のほか、5位と7位に入った。不動産鑑定士の鈴木禎(よし)夫氏は「平地が少なく、開発余地があまりないことも地価を押し上げている」と指摘する。

 避難指示区域は評価が行われておらず、中間貯蔵施設建設に伴う国有化論議は地価に反映されていない。(大塚昌吾/SANKEI EXPRESS

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