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FRB 利上げ判断「忍耐強く」削除 市場は「9月以降」「小幅に年内2回」が大勢

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FRB 利上げ判断「忍耐強く」削除 市場は「9月以降」「小幅に年内2回」が大勢

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3月18日、米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に首都ワシントンで記者会見に臨むFRBのジャネット・イエレン議長=2015年(ロイター)  米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、金融政策に関する声明を発表し、政策金利の引き上げ開始まで「忍耐強くいられる」としてきた従来の表現を削除し、利上げに向けた判断を前進させた。雇用の改善が進み、米景気が順調に回復しているため。利上げ開始時期について4月の可能性は低いと明記しており、早くても6月になる見通し。

 金融政策運営を決める連邦公開市場委員会(FOMC)の終了後の声明として発表した。声明は事実上のゼロ金利政策を維持した上で、利上げには「労働市場の一段の改善と、物価上昇率が中期的に目標へ近づくという合理的な確信」が必要だとした。

 FRBのイエレン議長は記者会見で「6月の利上げを排除しないが、必ずしも意味するわけではない」と早期利上げ観測を牽制(けんせい)。「明確な見通しを示すべきでない」と述べ、利上げ判断はあくまで経済状況次第との姿勢を強調した。

 今回の声明を受け早期の利上げ観測が後退し、18日のニューヨーク市場で株価が大幅に反発。日米の金利差縮小を意識して円高ドル安が進んだ。

 声明は、景気の現状について「経済成長がやや緩やかになった」と判断を幾分後退させた。同時に公表した経済見通しでは、2015年の国内総生産(GDP)成長率と物価上昇率の値を下方修正した。

 17人の会合出席者による今年末の政策金利見通しは、中央値が年0.5~0.75%だった。0.25%の小幅な利上げが年内に2回あることになり、昨年12月に示した見通しよりも利上げペースは緩やかになるとの予想が増えている。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪市場は「9月以降」「小幅に年内2回」が大勢≫

 FRBは、政策金利の引き上げ開始まで「忍耐強くいられる」との従来の声明にあった表現を削除し、利上げへ歩を進めた。一方で、経済見通しなどを引き下げたため、金融市場では6月の利上げ観測が後退し9月にずれ込むとの見方が台頭した。

 「利上げ開始は9月以降」。ロイター通信が声明発表後、米政府公認の証券ディーラーを対象に実施した調査によると、16社中12社がこう回答した。今月6日時点の調査では9社が6月利上げを予想していたが、今回は4社に減った。

 FRBは2015年の実質経済成長率について2.6~3.0%としていた14年12月の前回見通しを2.3~2.7%へ下げた。政策金利では0.25%の小幅な利上げを年内に2回行うとの予想が多く、前回見通しより利上げペースは緩やかになるとの見方が増えた。

 6月から9月に予想を修正した大和証券キャピタル・マーケッツアメリカのモラン氏は「成長率と物価上昇率の見通しが下方修正されたのが主因だ」と説明。輸入物価安につながるドル高進行を理由に挙げた社もあった。

 声明の表現変更は市場の予想通りだったが、イエレン議長は記者会見で「忍耐強くいられなくなるわけではない」と早期利上げ観測を牽制した。

 04年6月の前回の利上げ局面では「忍耐強くいられる」とした表現を04年5月に削除した際に、金融緩和策を「慎重なペースで解除できる」と予告。翌6月に利上げに踏み切った経緯がある。

 市場では、今回も表現変更で6月利上げを織り込ませるとの見方も出ていた。米資産運用会社アメリプライズ・ファイナンシャルのジョイ氏は「FRBは今回、利上げを急いでいないという明確な合図を送った」と指摘している。

 ただ「労働市場が想定以上に改善しドル高の影響が小さくなった場合、6月利上げの可能性は完全に排除できない」(英金融大手バークレイズ)との見方もあり、利上げ時期に関しては流動的な面が残る。(共同/SANKEI EXPRESS

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