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京都・鷹峯で誕生から400年 琳派ファッション 花盛り
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昇龍画家として知られる塩谷栄一氏による描き下ろし作品「登り龍」が大胆に描かれたロングドレス=2015年1月26日、2015ユミカツラパリオートクチュールコレクション_GLORIOUS_RIMPAから(田中幸美撮影) 今年2015年は、琳派の始祖である本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)が京都市の北部、鷹峯(たかがみね)に芸術家の活動拠点となる「光悦村」を開いて400年となることから、京都を中心にさまざまな記念イベントが行われている。書店には琳派を特集した書籍が山積され、琳派をテーマにした美術展もめじろ押しだ。
そんな中、ファッション界も琳派に注目する。豊かな装飾性やデザイン性を特徴とする琳派の様式は、日本が世界に誇る最高の美として高い評価を得ており、琳派をモチーフにした洋服や雑貨などが登場している。
デザイナーの桂由美さんは、2012年から日本の伝統工芸である友禅を素材にして、優雅な日本の美をデザインして発信してきたが、2015パリコレのテーマは「咲き誇る琳派」。友禅の表現を用いて描いたドレスなど23点を発表した。
琳派を象徴する画家の一人、尾形光琳の代表作の「燕子花(かきつばた)図」や鈴木其一(そいつ)の「朝顔図」などをモチーフにしたドレス。さらに、「京都もの創り作家の会」副理事長で、昇龍画家として知られる塩谷栄一さんがパリコレのために描き下ろした龍を大胆にあしらったロングドレスをはじめ、日本画家2氏が描いた平成の琳派をモチーフにした3点などを披露した。
桂さんは「友禅地に刺繍(ししゅう)を加えたものが多かったことや、帯地をドレスにしたり、打掛を見せたことで、日本の染の素晴らしさ、刺繍や織などの他にあまり類を見ない重厚さが功を奏したと考えています」とコメントした。
≪ドレスから雑貨まで あふれる世界観≫
琳派の遺伝子を受け継ぐとされる京都の壁画絵師、木村英輝さん(72)の作品をモチーフに洋服を作ったのは「コムサデモード」ブランドでおなじみの大手アパレルメーカー、ファイブフォックス(東京都渋谷区)。「アルチザン」「バジーレ28」など3ブランドで木村さんの作品とコラボレーションする。
一昨年、雑誌で目にした青蓮院門跡(京都市東山区)の襖絵「青の幻想」の蓮が「ずっと心に残っていた」というファイブフォックスの高瀬清子副社長(66)が、作者が木村さんであることを知り、コラボを持ちかけて実現した。「キーヤン(木村さんの愛称)の良さを取り入れながら、私たちが表現するとこうなるという琳派ができあがりました」と胸を張る。かたや木村さんも「まな板のコイになったつもりで口をはさまずお任せした方がいいものができる」といい、「ほんまかっこええのができた」と満足そうだった。
青蓮院の襖絵の蓮と、カサブランカをモチーフにワンピースやシャツからブローチ、トートバッグなどの雑貨まで26種類がそろう。
一方、琳派発祥の地、京都では町中が琳派の香りであふれる。
京友禅で作るアロハシャツとカットソーのブランド「パゴン」を展開する亀田富染工場(京都市右京区)は、2015春夏シーズンのテーマを琳派を題材とした「りんぱごん」に設定。3月14日にファッションショーを開催した。
酒井抱一(ほういつ)の「流水四季草花図(りゅうすいしきそうかず)」に描かれた春夏の草花を表現したアロハシャツや、金魚をまるでにらめっこしているかのような斬新な構図でユーモアたっぷりに描いた神坂雪佳(せっか)の代表作「金魚玉図(きんぎょたまず)」をモチーフにしたメンズ七部丈シャツなどがお披露目された。さらに亀田富染工場に大正時代の創業以来伝わる約5000点の着物の図柄のうち、琳派をイメージさせる図柄を選んで作ったワンピースやシャツなど計50種類が登場した。
また、京都高島屋(京都市下京区)では3月31日まで、「琳派400年記念祭@京都タカシマヤ RIMPA春 百華繚乱」と銘打って全館をあげて、琳派をテーマにしたさまざまな商品を取りそろえる。前述の桂由美さんやアルチザン、パゴンのドレスやシャツに加え、雑貨・小物類も充実。琳派を代表する作家の絵をモチーフにした御朱印帳やメモ帳、バッグなどで琳派テイストを楽しむことができる。(田中幸美(さちみ)、写真も/SANKEI EXPRESS)