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政治
「韓国と価値共有」外交青書も削除 外相が閣議報告 「未来志向」訴え
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外交青書に「日本の領土」と明記された竹島=2012年8月、島根県隠岐の島町(共同) 岸田文雄外相(57)は7日の閣議で、日韓関係について使用してきた「基本的な価値を共有する」との表現を削除した2015(平成27)年版「外交青書」を報告した。竹島(島根県隠岐の島町)は日本の領土と明記されたが、韓国外務省は7日、抗議する報道官声明を発表した。政府は対外発信強化の一環で、06(平成18)年版以来9年ぶりに英語全訳版を作成する。
韓国については、産経新聞ソウル支局の加藤達也前支局長が長期にわたり出国禁止となっている問題などで対応に変化がみられないことなどから、3月上旬に外務省のホームページで同じ文言を削除している。
岸田氏は7日の記者会見で「(安倍晋三首相の)施政方針演説などに合わせる形で改定した。定期的な改訂の中での対応だ。韓国は最も大切な隣国で、未来志向の2国間関係を構築していきたい」と述べた。
日中関係については、昨年11月に日中首脳会談が開催されたことを評価した。また、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を日本固有の領土と強調し、尖閣周辺で中国公船の領海侵入が続いていることを批判。「日本の領土・領海・領空は断固として守り抜く」と明記した。
戦後70年の歩みを振り返る項目では「平和国家としての歩みは今後も決して変わることはない」と、積極的平和主義による貢献を強調した。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件を受け、テロ対策について「自らの責任を毅然(きぜん)と果たす」と盛り込んだ。
≪「歴史に逆行」 中韓反発≫
韓国外務省は7日、竹島を日本の領土と明記した外交青書について、「再び歴史に逆行する行いを繰り返した」と批判する報道官声明を発表した。また、韓国外務省の李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長は在韓国日本大使館の金杉憲治総括公使を呼んで抗議した。
声明は「再三の警告にもかかわらず、(6日の)中学教科書の検定通過という挑発強行に続き、独島(竹島の韓国での呼称)、慰安婦問題などで不当な主張を盛り込んだ」と非難。「韓国固有の領土である独島が日本帝国主義による侵奪の最初の犠牲であり、慰安婦被害者らを強制的に連行し表現できない苦痛と傷を負わせた歴史的真実は消せない」と強調した。
中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官も7日の定例記者会見で、尖閣諸島を日本固有の領土とする外交青書について、尖閣諸島は中国に所属すると強調した上で「領土主権を守る決心と意思には、いかなる疑いも許されない」と反発した。(ソウル 名村隆寛、北京 川越一/SANKEI EXPRESS)
≪官房長官「教科書検定の抗議受け入れず」≫
菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は7日の記者会見で、中学校教科書検定で竹島(島根県隠岐の島町)を「日本固有の領土」とする教科書が合格したことをめぐる韓国の抗議に対し、「わが国の立場は一貫しているので、抗議は受け入れられない」と反論したことを明らかにした。中国からも7日、尖閣諸島を固有の領土と明記したことについての抗議があった。
菅氏は教科書検定について「学習指導要領と教科書検定審議会の専門的、学術的な審議に基づき公正中立に行われている」と改めて強調した。
岸田文雄外相は記者会見で、韓国の抗議を受け入れない姿勢を強調した上で「日韓両政府は大局を見据え、検定結果が日韓関係全体に悪影響を及ぼすことがないよう互いに努力することが必要だ」と述べた。
下村博文(しもむら・はくぶん)文部科学相は7日の記者会見で「子供たちが国際社会の中で生きていくためには、領土をはじめ、自国のことを正しく理解した上で、他国の人々と交流することが必要だ」と強調。「機会があれば、韓国と中国の担当大臣にも説明したい」との考えを示した。(SANKEI EXPRESS)