SankeiBiz for mobile

SUV&HVで「一人っ子世代」照準 上海モーターショー開幕

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの経済

SUV&HVで「一人っ子世代」照準 上海モーターショー開幕

更新

4月20日開幕した上海国際モーターショーの会場のトヨタ自動車のブース。コンパニオンやモデルの登場が禁じられる異例の措置の中で、イケメンダンサーやクラシックバレーの演出で工夫を凝らした=2015年、中国・上海市(河崎真澄撮影)  世界最大級の自動車展示会「上海国際モーターショー」が20日開幕し、報道陣に公開された。18カ国・地域の2000社を超えるメーカーなどが35万平方メートルの会場に計1343台を展示し、うち109台が世界で初公開された。中国は昨年、約2350万台が売れた世界一の自動車市場。今年は2500万台を超える見込みで、海外メーカーも主戦場とみて競争を繰り広げている。

 「堅牢さ」と「エコ」

 中国ではここ数年、乗用車を購入する消費者の中心が「1980年代以降に生まれた“一人っ子政策”の世代に重なる」(マツダの稲本信秀専務)ようになった。この世代が好む堅牢(けんろう)なイメージのスポーツ用多目的車(SUV)や、派手な色合いと個性的なデザインのセダンなどを各社とも前面に打ち出した。マツダは好調なSUVのCX-5の改良モデルを展示した。

 ホンダは中国市場向けに開発したSUVのコンセプトカーを初披露した。トヨタ自動車や日産自動車などは、中国の技術拠点で中国人スタッフが中心となって開発した車種を相次いで投入。なかでも深刻化する大気汚染の問題を背景に、ハイブリッド車(HV)など環境対応車を強調した。

 影落とす「戦後70年」

 中国市場での販売見通しで、ホンダの倉石誠司中国本部長は20日、過去最高だった昨年に比べ約20%多い95万台超とする目標を明らかにした。中国の経済成長鈍化や新車販売市場の頭打ちが懸念されるが、日産自動車のカルロス・ゴーン社長は「変化の激しい急成長より、年率6~7%で安定成長する方が企業が長期的に腰をすえるビジネス環境としてよい」と述べた。一方、日中関係について、日系大手メーカー役員は「戦後70周年に当たる今年、中国で対日感情がどう自動車市場に影響するか、懸念材料となる」と明かした。

 今回のモーターショーでは中国政府が、肌の露出度の高い服を着たコンパニオンやモデルの登場を禁じる異例の措置を取り、出展各社が華やかな演出を控えたため、会場の雰囲気は“実務一辺倒”に変わった。

 中国は上海と北京で国際モーターショーを交互に隔年開催している。米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン(VW)など欧米メーカーも勢ぞろいした。昨年の中国の乗用車販売で国別シェアはドイツ系が20%、日本系が16%、米国系が13%となっている。昨年は日本系がやや販売シェアを落とした。(上海 河崎真澄/SANKEI E XPRESS

 ≪国内各社、自動ブレーキの標準装備化急ぐ≫

 自動車メーカー各社で、衝突被害を軽減する自動ブレーキを量販モデルに標準で装備する動きが加速している。昨年4月の消費税率引き上げ以降、国内新車販売の不振が続く中、消費者の関心が高い先進安全システムが、市場回復のきっかけとして期待されているためだ。

 トヨタ自動車は4月1日に発売した主力車「カローラ」の新型車に、先進安全システム「トヨタ・セーフティー・センスC」を採用、中・上級グレードに標準装備した。車両前方をレーダーなどで監視し、先行車と衝突しそうになると自動で停止・減速する仕組みだ。車線をはみ出しそうになると警報を鳴らす機能もある。

 日米欧で約100万キロの走行テストを実施。レーダーとカメラを一体化することで、ネックだった価格も抑えた。2017年末までに、同様の装備を日米欧で販売するほぼ全ての乗用車に設定する。

 日産自動車は5月13日に発売するスポーツ用多目的車(SUV)「エクストレイル」のハイブリッド車(HV)に自動ブレーキを搭載、今秋までに軽自動車を含め主要な量販モデルに標準装備する計画だ。

 日産によると、自動ブレーキは「年配客や家族が万が一の保険として、搭載車を選ぶケースが多い」。普及を受け、国土交通省も市販車の自動ブレーキなど予防安全性能を評価する試験に乗り出している。

 富士重工業は自動ブレーキなどの運転支援システム「アイサイト」を他社に先行して導入、設定したモデルの搭載率は現在8割以上になっている。そこで一部改良して4月21日に発売する主力ワゴン車「レヴォーグ」は標準装備にした。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、3月の新車販売台数(軽自動車除く)は前年同月比13.1%減で8カ月連続のマイナス。

 各社は新型車でテコ入れしているが、「衝突安全や燃費性能の高い車以外は消費者の反応が鈍い」(自販連)だけに、自動ブレーキ標準装備化の動きは今後も続きそうだ。(SANKEI E XPRESS

ランキング