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経済
【OMOTENASHI SELECTION 2014】金賞(7)祇園ない藤 優雅で機能的によみがえった草履
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JOJOを店頭に並べる前に商品のチェックをする「祇園ない藤」の内藤誠治社長=2015年2月4日(武田範夫撮影)
■JOJO 祇園ない藤
「赤い鼻緒のじょじょはいて~」
童謡「春よ来い」の歌詞に出てくる、じょじょとは草履(ぞうり)のこと。ほんの少し前まで日本人の一般的な履物だった草履も、今では着物を着たとき以外には履くことがない。この草履がもつ優れた機能や優雅さを継承し、日本的ながらも洗練されたモダンな履物として、現代によみがえったのが「JOJO」だ。
明治8(1875)年に創業し、京都の祇園に店を構える老舗履物店「祇園ない藤」の内藤誠治社長は「日本の草履を手本にビーチサンダルが作られ、世界中で履かれるようになりましたが、自分が納得して使えるものがない。だったら本家として作り直してみるのが自分の仕事ではないか、そんな風に考えました」と動機を説明する。
内藤社長には「履物は道具」という一貫した信念がある。「道具ということは使いやすいのが当たり前。商品化ではこのことを大事にしました」と、使用する素材や形状などに徹底してこだわった。
そのこだわりが端的に表れている一つは、「前ツボ」と呼ばれる部分だろう。前ツボとは、足の親指と人さし指で挟み込む鼻緒の先端部分のこと。足の動きを草履に伝える要の部分だ。ここには哺乳瓶の乳首に使われる特殊ゴムを用い、指にやさしくフィットするとともに、動きに合わせて柔軟に変形するようにした。この工夫によって指に力を入れやすくなり、しっかりと地面をつかまえる感覚が得られる。鼻緒自体も摩擦に強く伸縮性に優れる水着に用いられる素材だ。
ゴム製のビーチサンダルは、これらの部分が硬いために、長く履くとどうしても足が擦れて痛くなってしまう。道具としてのこだわりはここだけにとどまらない。ゴム底には自動車タイヤと同じ素材を使用。さらに、足裏があたる部分には絶妙な弾力感をもつ特殊コルクを使い、都会のアスファルトを長時間歩いても足に負担をかけないようにした。草履を知り尽くしているからこそ実現できた匠の技だろう。加えて世界市場を見据えた印象的なデザインは、広い世代に強く訴えかける力をもつ。案の定、海外のファッションに敏感な層の興味を引き、近々、フランスでも販売が始まる予定だ。JOJOは「和」の持つ快適さや美しさを改めて世界に伝える役目を果たしそうだ。
所在地:京都市東山区祇園縄手四条下ル www.jojo-manaproject.com
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