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経済
【OMOTENASHI SELECTION 2014】(5)ZEROGRA 究極のかけ心地を求め続け…
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多くの熟練職人の分業によって製造される眼鏡フレーム。ZEROGRAは特に高度な技術が求められる=2015年1月22日、福井県鯖江市のメガネトップ協力工場(武田範夫撮影)
■株式会社メガネトップ/ZEROGRA
頭部をやさしく包み込むようにデザインされた近未来的なフォルム。ZEROGRA(ゼログラ)は眼鏡フレームのイメージを一新したと言ってもいいほどにスマートさが際立つ。目を引くのは眼鏡を折りたたむ機構である蝶番(ヒンジ)がないこと。このことが洗練された独特の雰囲気を醸し出している。
メガネトップ商品本部の吉田和弘商品開発部長は「眼鏡の究極の姿とは、かけていることを感じさせないこと。この目標に向け、フレームの軽量化とかけ心地の良さを追求していったら、蝶番がないこのデザインにたどり着きました」と説明する。
蝶番をなくしたことは理にかなっている。実はフレームのうちでもっとも弱く、壊れやすい部分は蝶番なのだという。弱い部分をなくして、同時に軽量化も実現したことになる。
最新のZEROGRAシリーズの平均重量は、通常のフレームの3分の1にあたる4.1グラム。最軽量タイプは実に2.8グラムしかない。商品名のZEROGRAは、無重力を意味するZEROGRAVITYに由来する。まさに無重力のようなかけ心地を体感することができる。
ZEROGRAを商品化して5年。吉田部長は「鯖江(福井県鯖江市)という眼鏡産業の一大集積拠点がなかったら、おそらくこの商品は作り出せなかったでしょう」と明かす。シンプルで超軽量なこの商品を完成させるには、高度な特殊技術をもつ多くの熟練職人の手を経る必要があるためだ。
シリーズ商品によって多少の差異はあるものの、一般的には軽くて強度や復元性に優れるβ(ベータ)チタンと呼ばれる極薄の特殊金属をレーザーで切断。これを折り曲げて柔軟性のある独特の形をつくり上げる。最終のメッキや塗装、研磨などを含めて、専門技術を極めたスペシャリストが分業する形態を取り、一本のZEROGRA製造に携わる人数は約100人に上るといわれる。日本の眼鏡生産量の9割以上を占め、メガネトップも生産拠点を置く鯖江には、工程や分野別に眼鏡関連の専門的な工場が数多く立地しており、ZEROGRAの実現に大きな役割を果たした。
熟練技術を持ち寄って競争力のある商品を作り上げる…ZEROGRAは技術立国・日本の進むべき道を示唆しているようでもある。
所在地:静岡市葵区伝馬町8の6 www.meganetop.co.jp
≪メジャー応用ストラップ≫
≪小さくても遠くまで≫
≪錦鯉が「作った」米≫
≪大切なものを守り続ける≫
OMOTENASHI SELECTION 2014 http://omotenashinippon.jp/selection