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アウトローであることが存在価値 「子供ばんど」新作 うじきつよしさんインタビュー

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アウトローであることが存在価値 「子供ばんど」新作 うじきつよしさんインタビュー

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「ロッカーはいつまでもアウトローでいたい」と話す、音楽アーティストのうじきつよしさん=2015年4月8日、東京都港区(大西正純撮影)  今年でデビュー35周年を迎えるロックバンド「子供ばんど」が新作「ロックにはまだやれることがあるんじゃないのか」を5月5日に発表する。リーダーのうじきつよし(57)は「ロックはアウトロー。いまの社会に、言うべきことを言うのがおっさんバンドの存在意義」として、暗闇で毒ガスを探知する「炭坑のカナリア」を目指すという。この日には東京・下北沢で発売記念ライブを行う。

 1980年にデビューした子供ばんどはユニコーンの奥田民生(たみお)、JUN SKY WALKER(S)の森純太など、影響を受けたと公言するミュージシャンが多い。88年に活動を休止、2011年に23年ぶりに再開してから、今回が2作目のアルバムとなる。

 全13曲、うじきや湯川トーベン(61)らメンバーによるオリジナルを中心に、Superflyの作・編曲家、多保孝一の書き下ろし、大瀧詠一のカバーなどで構成。1970~80年代の往年のロックが現代によみがえったような勢いと、メッセージ性が打ち出された。

 言うべきこと言おうと

 制作のきっかけは、うじきが最近の世の中の動きに「これでいいのだろうか」と感じたこと。安倍晋三首相(60)には、ほぼ同年代としての親近感がある一方、集団的自衛権の行使、原子力発電所の再稼働など政策運営には違和感を覚えている。「本当にみんなが望んでいる政策なのか。言いたいことが言いにくい、嫌な雰囲気も感じる」。同時に、オリジナルメンバー4人が50~60歳代になった今も、活動を続けている意味を考えた。

 「ロックバンドはアウトローであることが存在価値。それは真面目な『ロー(決まりごと)』があってこそ。そのローが揺らいで、アウトローの居場所がなくなり、言いたいことが言いにくくなっていく雰囲気もあるように思う。だから、言うべきことは言おうと考えた」

 ジャケットは気鋭のアーティスト小町渉が、メンバーの過去の写真をコラージュ。小町が自分の作品で使ったフレーズ「NO WAR,MAKE ART」がイメージの根底にある。

 目指す「炭坑のカナリア」は、不透明な社会で危険を敏感に察知する警報装置のような存在。カナリアは1995年、地下鉄サリン事件を受け、山梨県の旧上九一色村(かみくいしきむら)のオウム真理教施設への強制捜査の際に使われたことでも知られる。「カナリアはきれいすぎるから、実際は『掃きだめにカラス』かな」と笑う。

 バンド史上最高傑作だ

 活動休止中、うじきは俳優やタレント活動に専念していた。「やめたときは精も根も尽き果てていた。還暦を前に元のメンバーでまたやるなんて、当時は思いもしなかった」。その間、湯川ら他の3人のメンバーは音楽活動を継続。今回は音作り、歌詞のメッセージ性など、4人の個性がバランス良く融合した「子供ばんど史上の最高傑作」だという。

 「『フリーダム(自由)!』って連呼しても、若い人たちには『だったらお前らが何とかしろ』といわれる。歌詞は悩みました。『おっさんたちが好き勝手にそこそこやってるらしい』と思われることも、僕らの存在価値につながる」

 ロックを体現するうじきの素顔は、いわゆる「セックス&ドラッグ&ロックンロール」といったイメージとはほど遠い健康そのもの。ロードバイク歴は40年以上で、NHK-BSで関連番組にも出演している。「まだまだバンドは続けますよ」(文:藤沢志穂子/撮影:大西正純/SANKEI EXPRESS

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