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バイタリティーと多様性 ミュー
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デンマークを代表する人気バンド、ミュー(MEW)。(写真左から)ボウ・マドセン(G)、ヨハン・ウォーラート(B)、ヨーナス・ビエーレ(Vo,G)、スィラス・グレイ(D)=2014年11月12日(提供写真) デンマークを代表する人気バンド、ミュー(MEW)がニューアルバム「+ -(プラス・マイナス)」を発表した。2006年春に脱退したヨハン・ウォーラート(B)が復帰し、オリジナルの4人に戻っての新作である。といっても脱退の理由は、「息子が生まれたのを機に、家族との時間を大切にしたい」という思いからで、学生時代に結成した仲の良さは変わらず続いていた。ヨーナス・ビエーレ(Vo、G)とヨハンに話を聞いた。
「ヨハンが入るだけで、曲作りがスムーズになる。そもそもこのバンドは音楽をやりたいからではなく、この仲間で何かやりたいという気持ちで始めた。しかもどうやって曲を作ればいいのかわからないなかで、自分たちだけに通じるやり方、オリジナル・ランゲージでやってきたから」(ヨーナス)
3人で活動していた間に、ヨーナスは映画音楽をソロで制作したり、コールドプレイやa-haのメンバーと多国籍のバンドを結成するなど、各自が課外活動も行っていた。今回4人に戻って感じたのはそれらを栄養分としつつ、過去のアート性の強い楽曲に対するファンもポップさの増した新曲「サテライツ」から入るファンも満たすような、最大公約数を持つ作品になっていること。しかも、バイタリティーにあふれている。
「これは多様性を持ったアルバムだと思う。それにこちらから聴き手に挑むのではなく、むしろみんなを招き入れるようなアルバムになっているよね」(ヨーナス)
「バイタリティーという言葉はうれしいね。またみんなで一緒にやるという楽しさが楽曲にあふれているからだと思う。それに、プロデューサーのマイケル・バインホーンも、“本気で伝えたい気持ちを、歌や演奏に込めよう”と言っていたので、それが伝わったと思うとすごくうれしい」(ヨハン)
曲の鼓動を伝えたいからと、ティンパニー、マリンバ、ビブラフォンといった「大地系の音を選んだ」(ヨハン)ことで、楽曲に色彩が加わった。歌詞も「今回は直接的なものの言い方に挑戦してみた」(ヨーナス)という。
アルバムタイトルは電池のイメージから。
「ダイナミックだし、コントラストのある作品になった。シンボルとしてもいいと思った」(ヨーナス)
m/m(paris)によるアートワークもしゃれている。エネルギーをもらえる魅力にあふれたアルバムだ。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)