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謎めきやロマンを感じる音楽を ねごと
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4人組バンド、ねごと=2015年1月14日(提供写真) 「『これから先どうなるの?』って展開していく可能性や未来のあるものにひかれるし、そこに音楽の楽しさも含まれると思っています。今のバンドシーンには自分の内面を全部吐露した歌詞が多いなかで、私たちは空間や時間が広がって、そこに謎めきやロマンを感じるものをやっていきたいですね」(蒼山)
ねごとは大学生活と両立させながら活動してきた。なかでも2012年から卒業後の13年春にかけてはリリース量もツアー数も増え、生き急ぐような姿がそのまま歌に反映されていた。周囲からのプレッシャーが相当あったのだと思う。
「そうですね。なので、一度バンドの中の風通しを良くしたかったし、ミニアルバム『“Z”OOM』で1曲ごとに試行錯誤したことで、音楽を作る喜びや鳴らす喜びを実感できたのが良かったと思います」(沙田(ますだ))
最新アルバム『VISION』で、耳にすぐに飛び込んでくる「黄昏のラプソディ」や「endless」はメロディー先行で制作。演奏力でぐいぐい引き込む「GREAT CITY KIDS」はセッションから誕生したという。もちろん、沙田が作るデモトラックが要になった曲もある。しかも今回は先に歌詞があった曲が多かったため、「(曲作りの時に)メロディーがなかったりすると好き勝手やっていい状態だけど、歌詞があるとイメージしやすく、そこに合わせる感じにはなっていますね」(澤村)、「今まで以上に4人が何をやっているか、すアみ分けがすごい」(藤咲)と、各パートの聴かせどころも明確になり、曲全体で聴きやすくなった。細部までこだわった音に加え、蒼山も声質が豊かになり、発声が変わってきたのも大きい。誰もが共感しやすいラブソングも増えた。
特筆すべきはセルフプロデュース曲「endless」。水の音をサンプリングしたという沙田のアイデアで浮遊感が増し、“エンドレスキス 宇宙のキス”というサビのメロディーに沿った演奏が音空間を広げていく。“運命忘れるように”という歌詞については、「永遠のものってないし、何事も夢がさめる日がいつかは来る。ただ夢見ているだけの話を書いても説得力がないし、本当のことには裏表があるから、その両方を書きたいですね」(蒼山)と説明する。
ポップでファンタジーあふれる一方で、現実も冷静に見つめる。音楽で表現する宇宙感、恋愛観は彼女たちにしか出せない唯一無二のもの。想像力の旅にも誘うすてきな内容で、『VISION』は一人でも多くの人に聴いてほしい魅力にあふれている。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)