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ラブソングにあふれた、純度の高い一枚 Chara

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ラブソングにあふれた、純度の高い一枚 Chara

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音楽アーティスト、Charaさん。最新作はエレクトロニカ&フォークからR&Bまで、ぬくもりあふれる音楽になった=2015年2月25日(伊藤香織さん撮影、提供写真)  デビュー24周年を迎えるCharaが発表した最新アルバム「Secret Garden」で、彼女は全作詞作曲に加え、サウンドプロデュースまで手掛けた。しかもリビングなどを見渡せる自宅のスタジオでレコーディングした曲が多いせいか、リラックス感やぬくもりが伝わってくる。“超個性的”という言葉をキーワードに自分のスタイルを貫き、2児の母親になっても精力的に活躍し続ける彼女にインタビューした。

 自分をさらけ出し

 「シンガー・ソングライターなど、詞を書いたりメロディーを作る人は、特に自分自身をさらけ出していかないと純度の高いものができない。いかに自分らしいものを出すかが“超個性的なこと”だと思うんです」

 歌い始めたのは19歳の大失恋がきっかけ。子供の頃から鍵盤を弾くことがコミュニケーションツールで、曲を作ることで人と人をつなげ、助けてもらったことも多いと話す。

 「デビューしてからボイストレーニングを受けたことはないですね。アーティストならば自分の内側を純粋に出して、思いのままに歌うことを意識していたいし、私は歌うことよりもソングライターとして曲を作る方が好きだったから、地声だと出ないメロディーラインをウィスパー(ささやき声)で歌っていったら、すごく個性的になっていったんですよ」

 しかし、39歳の頃から身体のトレーニングとともに、ボイストレーニングも行うようになった。

 「顔のたるみと同じで声帯の筋肉も垂れたりして、歳を取るわけで。歌う時には内臓や骨も全部を楽器として使うから、ビンテージの楽器になってきた身体を、いい音を鳴らすために手入れをするという感じですね」

 そのせいか、ここ数年のライブでミドルボイスが出るようになり、表現の幅が広がってきた。あまり知られていないかもしれないが、Charaはコンピューターやベース、ギター、ドラム、キーボードなどを駆使してデモ音源から作るマルチミュージシャン。今回のアルバム制作もそこに気鋭のミュージシャンたちを迎えて、楽しんだようだ。

 庭作りに似た曲制作

 「私にはクリエートしていくイマジネーションやアイデアはたくさんあるから、どういう自分がいいのか、自分でデザインしていかないと。音楽制作はガーデニングに似ていますね。近くで手入れすることもあるけど、ちょっと俯瞰(ふかん)で見るといいように、曲のアレンジも近くで感じることもいいけど、俯瞰で全体の音楽を聴くと、『あのフレーズのはみ出しが、実はいいグルーヴを作ってるな』とか、『あの人のちょっとズレてるあの感じがいい雰囲気になっているから、残してみよう』みたいなアレンジは結構多いです(笑)」

 なかでも一番こだわったのはメロディー。歌詞はフィーリングから生まれてくるという。

 「メロディーはやっぱり愛だなって思って。私は特に誰かに伝えたいという思いがあってやっているから、それがメロディーに表れると思うし、私だけの秘密を伝えたい人に書いた曲が、知らない人から『私の気持ちを歌ってくれているような気がする』とか『涙が出ました』と言われると、言葉で表現する部分も迷いなしでやる責任があると思いますね」

 アルバムにはシングル曲「hug」、「恋文」をはじめ、「恋は危険さ」や「不器用」などラブソングを満載。聴いていると恋をしたくなったり、愛の大切さを実感する。「愛がすべて」というChara。この純粋さが多くの心を捉えてしまうのだ。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS

 ■ちゃら 1968年、埼玉県生まれ。91年、シングル「Heaven」でデビュー。96年には女優として出演した岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」が公開され、劇中バンドYEN TOWN BANDで歌った「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」が大ヒット。97年のアルバム「Junior Sweet」は100万枚を超えるセールスを記録。ファッション面を含め、憧れの女性像として世代を超えた人気を確立している。3月27日より全国6カ所で7公演のツアーを行う。charaweb.net/?p=7292

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