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【箱根火山活動】専門家「大涌谷以外に危険なし」 熱水温上昇で水蒸気噴火の可能性

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【箱根火山活動】専門家「大涌谷以外に危険なし」 熱水温上昇で水蒸気噴火の可能性

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水蒸気爆発による小規模な噴火が発生する恐れがあるとして警戒が続く箱根山の大涌谷(おおわくだに)=2015年5月7日午前8時7分、神奈川県足柄下郡箱根町(共同通信社ヘリから撮影)  気象庁は6日、箱根山(神奈川、静岡県)で火山活動が高まり、大涌谷(おおわくだに)周辺で小規模な水蒸気噴火が起こる恐れが強まったとして、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げ、火口周辺警報を発令した。

 これを受け、神奈川県箱根町はこの日、大涌谷の半径約300メートルに避難指示を発令。すでに規制していたハイキングコースに加え、大涌谷に向かう県道も通行禁止とし、箱根ロープウェイも運転を見合わせた。

 大涌谷では3日以降、温泉施設で水蒸気やガスなどが勢いよく噴き出す暴噴が確認され、噴火の兆候とされる山体の膨張もわずかに観測。5日午後9時過ぎに約5キロの深さを震源とする震度1の地震が発生したため、「これまでとは異なる火山活動が起こっている」と判断した。

 今後、小規模な水蒸気噴火が発生し、最大で直径50センチ程度の噴石が飛散する可能性があるという。

 気象庁は「(避難指示が発令されている)範囲で小規模な水蒸気噴火が発生し、噴石が飛散する可能性があるので、入らないようにしてほしい」と話している。

 また、仙台管区気象台は6日、吾妻山(山形、福島両県)で地下のマグマや火山ガスの動きを示す火山性微動を観測したと発表した。今年3回目の観測で、噴火警戒レベルは昨年12月に1から2に引き上げられている。

 一方、蔵王山(宮城、山形両県)も警戒レベル対象の火山ではないが、同等の警報が出ている。

 ≪箱根山 警戒レベル2≫

 噴火警戒レベルが初めて2に引き上げられた箱根山。気象庁は箱根山で起きている現状を「マグマが直接関係しているとは考えられず、深さ1~2キロにある熱水が温められることで小規模な水蒸気噴火が起きる可能性がある」と説明する。一方、専門家は「警戒が必要なエリア以外は危険がないと考えていいのでは」と指摘している。

 過去8000年で8回噴火

 箱根山は東西8キロ、南北12キロのカルデラを持つ火山の総称。主峰の神山の北側に、活発に水蒸気やガスを噴き出す大涌谷や早雲山といった噴気地帯がある。

 噴火は過去8000年で8回経験していることが分かっている。マグマが地表に噴出するマグマ噴火は約3200年前に神山で発生したものが最後で、噴火で冠ケ岳が形成された一方、山体崩壊で川がせき止められ、芦ノ湖が現在の形となった。

 近年では、2001年に山体の膨張を示す地殻変動や最大で地震の大きさを示すマグニチュード(M)2.8の群発地震が発生したほか、大涌谷で噴気の勢いが増す暴噴が確認されたが、噴火には至らなかった。その後も06、08、11、13年と、数年に1度のペースで群発地震があった。

 4月26日から異変

 13年以降、目立った群発地震は発生していなかったが、今年4月26日から、微少な火山性地震が増加し始めた。4月1~25日までは計8回だった地震が、26日に17回、27日に16回、28日に24回発生。5月2~4日は35回前後の地震があり、5日には01年を上回る116回を観測した。

 また、噴火の兆候とされる山体の膨張もわずかながら観測されているほか、3日からは大涌谷内の温泉施設で暴噴が発生している。

 5日夜に発生した震度1の地震は、震源が約5キロと深い場所だった。気象庁火山課の北川貞之課長は、「地下深くのマグマから高温ガスなどが噴き上げ、そこから熱水に熱が供給されていると考えられる。現時点でマグマの上昇はないと考えているが、熱水の温度や圧力に急激な変化が加われば噴火が発生してもおかしくない」と話した。

 噴火が起こった場合について、気象庁は最大で直径50センチほどの噴石が飛散する可能性があるとしている。

 神奈川県箱根町は、飛散が懸念される大涌谷の半径約300メートルの範囲に避難指示を発令し、箱根ロープウェイが早雲山(そううんざん)-桃源台(とうげんだい)で6日から運休となった。

 群発地震は6日に14回、7日午後3時までに10回とやや収まっているかに見えるが、13年の火山活動活発化の際は約4カ月にわたって地震が続いた。

 火山に詳しい宇井忠英・北海道大名誉教授(火山防災)は「危険な兆候として、山体の膨張などの地殻変動や地震がさらに活発化するなど急激な変化があるはず。大涌谷周辺以外の温泉や観光施設であれば被害を受けることはほとんどなく、危険はない」と強調している。(SANKEI EXPRESS

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