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【箱根火山活動】「14年前の規模上回る」 箱根、火山活動長期化も

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【箱根火山活動】「14年前の規模上回る」 箱根、火山活動長期化も

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箱根の中心部の仙石原から望む雲に覆われ、かすむ大涌谷(おおわくだに)方面=2015年11月12日、神奈川県足柄下郡箱根町(斎藤良雄撮影)  小規模な水蒸気噴火の恐れがある箱根山(神奈川県箱根町)は、気象庁が噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)へ引き上げてから13日で1週間を迎える。火山性地震は12日も続き、活動が高まった4月26日以降で800回を超えた。専門家は「火山活動が長期化する恐れもある」と指摘する。

 「今回の活動は2001年以上の規模に見える」。箱根山の研究を続ける神奈川県温泉地学研究所で所長を務めた吉田明夫静岡大客員教授は、14年前の火山活動と比較し、こう分析した。

 当時は火山性地震が4カ月余り継続。「火山活動に相似形はなく、何が起きるかは予測できないが、同じような期間続くことも想定に入れておく必要がある」と話している。

 気象庁によると、12日の火山性地震の回数は午後3時までに29回を観測し、このうち午後2時ごろには箱根町で体に感じる震度1の地震も発生。有感地震の観測は10日から3日連続となった。

 今回の火山性地震は4月26日から増加傾向となり、5月1日に2回へ減少後、5日に117回を観測。再び減った後、10日には観測データがある01年以降で最多となる266回に達するなど、増減を繰り返している。

 こうした中で、吉田教授が注目しているのが、山体の膨張を示すデータという。気象庁でも継続して観測しているほか、国土地理院の分析でも蒸気噴出が続く大涌谷周辺で約6~8センチの隆起が判明。吉田氏は「膨張が止まれば火山活動が終息したと考えていい」と指摘する。

 吉田氏は「火山性地震の増減は過去にも見られる現象。1、2日では火山活動について即断できない」とし、長期的な視点で警戒を続けることが重要とした。

 ≪気象庁「噴火速報」8月から運用開始≫

 気象庁は12日、火山の噴火直後に登山者らへ情報を伝えるため新たに設ける「噴火速報」について、8月上旬から運用を開始する方針を明らかにした。噴火から数分以内に発表するとし、伝達手段は自治体の防災無線やラジオなどを候補に検討を進めている。

 昨年9月に発生した御嶽山(おんたけさん、長野、岐阜県)の噴火では、火山活動の状況が登山者らへ十分に伝わっていなかった問題点が浮上。火山噴火予知連絡会が今年3月にまとめた報告書で、速報制度の創設を求めていた。

 また、5段階で示す噴火警戒レベルのうち最も低い1について、「平常」としていた従来の表現を改め、「活火山であることに留意」に変更すると発表。警戒レベルが運用されていない火山を対象にする噴火予報の「平常」も同様に変える。

 「平常」という表現が「安全」と誤解されているとする指摘があり、登山者らに突発的な噴火の危険があることを認識させるのが狙い。変更は今月18日から始める。(SANKEI EXPRESS

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