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中国、2年ぶり国防白書「海上軍事闘争に備え」 対米強硬明確 南シナ海衝突の危機
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国防白書を手に説明する中国国防省の楊宇軍報道官=2015年5月26日、中国・首都北京市(AP) 中国国防省と人民解放軍は26日、2年ぶりの国防白書「中国の軍事戦略」を発表した。「中国の領土主権と海洋権益に対する挑発行為が発生している」との認識を示し、中国による岩礁埋め立てで米国などとの緊張が高まる南シナ海情勢を念頭に「海上での軍事衝突に備える」との方針を表明した。
また日本を名指しして「戦後レジーム(体制)からの脱却を積極的に追求し、安全保障政策を大規模に転換している」と指摘、安倍政権が進める集団的自衛権行使容認など一連の安全保障政策を牽制(けんせい)した。
中国国防省が正式に海上での軍事衝突に言及するのは初めて。中国が人工島の「領海」と主張する12カイリ(約22キロ)内の海域や上空に、米軍の航空機や艦船を進入させる意向を表明しているオバマ政権に強い不満を示した。
習近平指導部は中国主導によるアジアの新たな安全保障秩序構築を目指しており、日米同盟強化への警戒感を明確に打ち出した形となった。
白書は「(アジア)域外の国家が南シナ海(の問題)に介入し、中国に対して頻繁に近距離からの偵察行為を繰り返している」と指摘した。
国防省の楊宇軍報道官は26日の記者会見で「歴史上の原因により、アジアの隣国と国際社会は日本の軍事・安全保障に関する政策に強い関心を寄せている」と述べた。
前回2013年4月に発表した白書でも、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐり、日本を批判していた。
今回の白書は、伝統的に陸上戦略重視の思考を海上重視に切り替え、海上の軍事力強化を進める方針を強調。偵察力を強め、指揮系統の精度向上を図っていくとした。宇宙空間での軍拡も進める考えを示した。
シンガポールで今月末に開催されるアジア安全保障会議には、孫建国副総参謀長が出席すると発表した。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪対米強硬明確 南シナ海衝突の危機≫
中国の習近平指導部は26日に発表した国防白書で、海上での軍事衝突に備える方針を示し、南シナ海での岩礁埋め立てを牽制する米国への対決姿勢を明確にした。「弱腰外交」との批判を回避したいオバマ米政権も譲歩しない構え。衝突の危険が現実味を帯びる中、「最悪のシナリオ」を回避する即効策は見当たらず、米国は対応に苦慮している。
「中国各地で毎日行われている建設工事と何ら変わらない」。中国国防省の楊宇軍報道官は26日の記者会見で、南沙(英語名スプラトリー)諸島の岩礁埋め立てについて中国の主権の範囲内だとあらためて正当化した。
中国は「九段線」と呼ばれる独自の境界線を設定して南シナ海の大半の管轄権を主張。強気を貫く背景には、世界第2の経済力を背景にした「大国」意識がある。習指導部は「アジアの安全はアジア人民が守る」と公言し、経済と安全保障の一体化を目指す「アジア運命共同体」の建設を提唱。領土問題などで中国の「核心的利益」を尊重することが前提で、米主導の秩序に対抗する姿勢を強めている。
南シナ海を管轄する中国の南海艦隊には「中国版イージス艦」と呼ばれる最新鋭のミサイル駆逐艦や攻撃型原子力潜水艦などが配備されている。今後は南シナ海で訓練や演習を活発化させ、監視を続ける米軍への牽制を強める可能性が高い。
これまで抑制的な態度に終始してきたオバマ政権もようやく危機感を募らせ、米国防総省は21日、中国が「領海」と主張する人工島の12カイリ(約22キロ)内に米軍機や艦船をいずれ進入させる考えを表明した。オバマ政権は、シリアの化学兵器使用疑惑で軍事介入を見送り、ロシアのクリミア編入を許したとして強まった「弱腰外交」のイメージをはね返すためにも、これ以上の中国の「増長」は許したくない考えだ。
南沙周辺海域ではパトロール中の米海軍の最新鋭沿岸海域戦闘艦(LCS)が11日に中国軍のフリゲート艦に追跡されたと報じられた。実際に米軍機や艦船を12カイリ内に進入させれば、偶発的な衝突が起きかねない。米国は当面12カイリ外で偵察を続ける方針とみられる。(共同/SANKEI EXPRESS)