SankeiBiz for mobile

長江で客船転覆 400人超不明 船長ら拘束「竜巻に巻き込まれた」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

長江で客船転覆 400人超不明 船長ら拘束「竜巻に巻き込まれた」

更新

中国湖北省の長江で、転覆した旅客船から救助される乗客=2015年6月2日(ロイター)  中国湖北省荊州市監利県の長江(揚子江)で1日夜、乗客乗員458人が乗った客船が転覆、新華社などによると、5人の死亡が確認された。14人は救助されたが、400人以上が行方不明となっており、多くが船内に取り残されているとみられる。

 習近平国家主席は全力で救助に当たるよう指示。中国当局は2日、巡視艇など100隻以上の船や潜水士100人超を動員し、捜索・救助活動を本格化した。李克強首相が現場入りして陣頭指揮を執っているが、救助活動は難航している。

 当時の現場付近は暴風雨で、当局は強風のため横転、転覆した可能性のほか、拘束した船長から、判断や操船に問題がなかったかについても調べている。

 事故現場の水深は約15メートルで、客船はほぼ沈没し船底が水面に出ている状態。中国メディアによると、船内から反応があり少なくとも3人の生存が確認された。

 江蘇省南京市の海事当局者は2日、「中国国内で起きた船舶事故で最大の可能性がある」と指摘。船長に職務上の責任があるとも述べた。客船が事故前に方向を変えたとの報道もある。

 一方、船長は「竜巻に巻き込まれ、あっという間に転覆した」と話した。湖北省当局も竜巻が発生し、客船は1分足らずで傾いたとしている。

 上海の日本総領事館は2日、日本人が乗船していたとの情報は入っていないと明らかにした。中国中央テレビも、全員が国内の乗客と伝えた。

 客船は重慶市の汽船会社所属の「東方之星」(全長約76メートル、2200トン)で客室は4階建て。定員は534人で、乗客ら411人、乗員47人が乗っていた。5月28日に南京市を出発、上流の重慶市に向けて航行中に転覆した。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪高齢者ツアー多数 若者「お父さん、悪かった…」≫

 「携帯電話がつながらないんだ」。旅行会社の前で泣き崩れる乗船者の家族。中国湖北省の長江で客船が転覆した事故。2日、中国メディアが生存者の救出劇を報じる一方、多数の乗客乗員の関係者は、情報を求めて旅行会社や政府関連施設に詰め掛け、焦燥感を募らせた。

 乗客の多くは、上海の旅行会社が企画した高齢者向けツアーに応募。「お父さん、お母さん、ぼくが悪かった。旅行に行かせるべきじゃなかったよ」。中国メディアは、旅行会社の事務所前で泣き崩れる若い男性の姿を報じた。

 上海のある政府関連施設にも安否情報を求めて関係者が集まった。夫(49)と70代の義父が乗っていた可能性がある会計士の女性(49)は「本当に乗っていたか分からない。政府は乗船者名簿を公表して」「(救助された)船長はなぜ船を先に出たの?」と涙を流しながら訴えた。

 曇り空の下、救助活動が懸命に続けられたが難航。ひっくり返って水面に出た船底の上に、オレンジ色の救命胴衣を着た救助関係者がはいつくばり、金づちでたたいて生存者の反応を必死に探っていた。中から助けを求める声が聞こえたという。

 「お年寄り1人の救助に成功しました」。2日午後、船内から高齢の女性が救助されたと、リポーターが興奮気味に実況中継した。女性は潜水士3人らに抱えられて水面に姿を現し、船底に引き上げられた。救助隊員らから拍手がわき起こり、女性は「ありがとうございます」と小声で話した。(共同/SANKEI EXPRESS

ランキング