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【FIFA汚職】強気の態度一変、ブラッター会長の辞意表明ドタバタ

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【FIFA汚職】強気の態度一変、ブラッター会長の辞意表明ドタバタ

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元ブラジル代表のペレ氏(左)とハグをするゼップ・ブラッター氏。当時は国際サッカー連盟(FIFA)事務局長だった=1989年12月9日、イタリア・首都ローマ(AP)  汚職事件に揺れる国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長(79)=スイス=が2日、突然辞意を表明した。5月29日の会長選挙で5選を果たし、改革に意欲を見せていた態度を一変させた背景には捜査の進展があるとの見方もある。招致で不正疑惑がささやかれてきた2022年ワールドカップ(W杯)の開催国がカタールから変更される可能性も出てきた。

 朝までいつも通り

 FIFA総会の会長選挙で、ブラッター氏は加盟209協会の投票で133票を集め「私が皆さんの会長だ」と高らかに宣言。翌30日の記者会見では米司法当局の捜査が自身に及ぶ可能性について「何の容疑で逮捕されると言うんだ」と言い放った。自信に満ちあふれた表情からは、自ら退く意思など全くうかがえなかった。

 選挙からわずか4日。AP通信によると、側近の一人は、ブラッター氏が辞任を決断したのは表明の数時間前ではないかとみた。1日の昼食時はリラックスした様子で、2日朝の会議もいつも通りだったが、その後「米国から違う情報」が入り、それまでと雰囲気ががらりと変わったと証言した。2日夕の緊急記者会見は報道各社への案内が当初の開始予定時刻の約1時間半前。さらに開始が約45分遅れ、ドタバタぶりが伝わってきた。

 弁護団が後押しか

 「強気の態度だったのが一転して降参した理由は何だったのか、話してほしい。(君は)話し好きだったじゃないか」

 米司法当局がブラッター氏の立件を視野に入れていると報じた米紙ニューヨーク・タイムズは記事の中で、ブラッター氏に本当の理由を明らかにするよう促した。

 ブラッター氏は辞意表明会見で「私にはFIFA加盟協会の信任はあるが、サッカー界全体の支持は得られていないと感じている」と語ったが、ニューヨーク・タイムズ紙は、ブラッター氏の弁護団による助言も背中を押したのではないかと報じた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は1日、右腕のジェローム・バルク事務局長(54)=フランス=が、10年W杯招致成功の謝礼として南アフリカから当時のジャック・ワーナー副会長(72)=トリニダード・トバゴ=側に渡った賄賂の送金に関与していた疑いを報道。南ア側がバルク氏宛てに送ったとされる書簡のコピーも英メディアに報じられた。

 弁護団は、ブラッター氏が会長ポストにとどまれば今後もW杯招致疑惑に関する公式コメントを求められ、その発言が自身に不利に働く可能性を指摘したとされる。

 「眠れないだろう」

 トップ交代は22年カタール大会の先行きを不透明にした。開催まで7年もの猶予があり、夏の酷暑を避けるために異例の11、12月への会期変更が決まったカタール大会については、開催国再選定を求める声も上がっている。

 カタール大会は会場建設に従事する海外からの出稼ぎ労働者の人権問題で強い批判を浴び、欧州主要リーグのまっただ中に実施される日程にも不満がくすぶる。イングランド協会のグレッグ・ダイク会長(68)は「もし私がカタールの組織委員会の人間だったら、今夜は眠れないだろう」と話し、後ろ盾だったブラッター氏を失うことがカタールにとって大きな打撃になると予想した。

 スイスの検察当局が開始したW杯招致に絡む不正捜査の進展次第では、カタール開催が取り消しとなり、開催国選びの再投票が実施される前代未聞の事態に発展する可能性も否定できない。

 ≪ジーコ氏が出馬検討≫

 サッカー元日本代表監督のジーコ氏(62)は2日、交流サイトのフェイスブックで国際サッカー連盟(FIFA)の次期会長選挙への出馬を検討していることを明かし、「私は政治よりサッカーを優先する。まだ単なる思いつきだが、やらない理由はない」とつづった。

 会長選を行う臨時総会の開催は、12月以降となる見通しだ。ジーコ氏は、「まだ協力者はいないが、日本には常に支持基盤がある」と記した。(共同/SANKEI EXPRESS

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