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難民政策を強化 申請者の住居充実 法務省・日弁連・NPO法人 羽田など4空港

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難民政策を強化 申請者の住居充実 法務省・日弁連・NPO法人 羽田など4空港

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難民政策に消去的とみられるなか、日本弁護士連合会、NPO法人と連携して難民申請者への住居提供を本格化する法務省入国管理局=2011年3月17日、東京都港区港南(栗橋隆悦撮影)  空港で難民認定申請した外国人に住居を提供する官民連携プロジェクトの拡大について、法務省と日本弁護士連合会(日弁連)、NPO法人「なんみんフォーラム」(FRJ、東京)の3者が合意し、対象を全国の4空港に拡大し、本格的に運用したことが21日、分かった。期間限定の試行措置としてスタートした事業だったが、対象を全国の4空港に拡大し本格化した。未成年者や精神状態が不安定な申請者らを入管施設に送らずに国内の落ち着いた環境を提供。国際社会から難民政策に消極的とみられている日本の名誉挽回に一役買いそうだ。

 法務省入国管理局によると、プロジェクトは昨年3月まで2年間にわたり成田空港で試行し、その後、羽田空港も対象として引き続き運用。成田空港以外でも外国人の利用が増えていることから、入管局と日弁連、FRJが今月、関西、中部の2空港を含む4空港を対象とすることで正式合意し運用している。

 プロジェクトでは、空港で難民認定申請しようとした外国人のうち、女性や未成年者、精神的に不安定な人らに対して弁護士が身元を保証したり、FRJ側が住居を提供することで身柄を解放。対象者はFRJに参加する15団体のシェルターやアパートで暮らし、弁護士の支援を受けて申請手続きを進める。

 試行では、4カ国計12人の男女が対象となり、うち1人が難民認定、4人が人道的配慮による在留許可を受けた。このほかは、異議申し立て中や認定手続き中などだ。

 日本の難民認定者数の少なさや入管施設への長期収容などが国際的に問題視されたことに対する措置だったが、入管局は「所在不明者はなく、難民認定手続きに支障は生じていない」などとしてプロジェクトをさらに推進した。

 日弁連は「申請者の心身の状態の安定と申請手続きの便宜を図ることができた」、FRJは「申請者の長期収容を回避できたことは貴重な成果」と評価。その上で入管局で決める対象者の拡大や判定基準の策定などを求めている。

 法務省によると、昨年1年間の難民認定者は11人で前年比5人増。人道的配慮による在留認定者は110人で同比41人減だった。一方、難民認定申請者数は前年比約53%増の5000人。強制送還回避や就労を目的に申請する悪質なケースもあるとして、法務省は難民認定制度の乱用防止策を盛り込んだ「出入国管理基本計画」を近く策定する方針だ。

 ≪「日本は平和」…3食付き、生活費を補助≫

 難民認定申請者を受け入れるFRJが運営するシェルターは、東京都内の静かな住宅街にある。1階に共用の台所と食堂、2階に居室とリビングがある一軒家で、短期滞在者向けのものだ。

 「屋根のある家で、ひとまず安心してもらえるのがうれしいです」。FRJの石川美絵子理事(53)は、外国人を迎え入れたときの気持ちをこう話す。

 官民連携プロジェクトでは、成田空港で難民認定を申し出た外国人の中で年齢や体調などから入管施設に収容しない方がいいと法務省入国管理局が判断すると、FRJへ連絡。スタッフが空港で本人と面接し、受け入れを決める。シェルターでは住居に3食、生活費の一部が補助される。原資は各団体への民間の助成金や個人からの寄付金だ。

 一息ついた後、申請中は昼間から何もやることがない日が続き、ストレスが募る。ケースワーカーがケアするが、鬱になる人もいるという。それでも収容所と違って落ち着いた環境で暮らせるメリットは大きい。

 2012年冬にFRJのシェルターに来たアフリカ東部出身の男性は、窓から住宅街を見て「日本は平和だ」とつぶやいたという。迫害を受けていた母国で自宅の窓から見る景色との違いに改めて気づいたのだ。男性はその後、難民認定されたが困難は続く。教育レベルが高くても、言葉の壁などもあり、仕事が限られがちになるからだ。現在は関東地方に住み、飲食関係の仕事に従事。「シェルターの居心地はとても良かった」と感謝している。

 「難民認定は第一歩。その後の苦労が目に見えるので素直に喜べない」と石川さん。自立支援を強化しようと、教育、就職といった活動の拡充を進める団体も出てきている。(SANKEI EXPRESS

 ■難民認定制度 日本政府は1981年に加入した難民条約に基づき、人種や宗教、政治的な理由などにより迫害を受ける恐れがある外国人を保護する。難民認定者には原則的に「定住者」の在留資格が与えられ、就労したり社会保障を受けられたりするようになる。不認定の場合、異議申し立てできる。

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