ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
政治
2億ドル要求「あと72時間」 「イスラム国」日本人2人殺害警告
更新
過激派「イスラム国」とみられるグループが1月20日発表したビデオ声明の全文=2015年 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」とみられるグループが20日、72時間以内に身代金2億ドル(約235億円)を支払わなければ日本人2人を殺害すると警告するビデオ声明をネット上で公開した。信憑(しんぴょう)性は不明だが、日本政府は映像で拘束されている男性2人について、昨年8月にイスラム国に拘束されたとみられている千葉市の湯川遥菜(はるな)さん(42)と、仙台市出身のフリージャーナリスト、後藤健二さん(47)の可能性があるとして確認を急ぎ、救出に全力を挙げる。
安倍晋三首相(60)は訪問先のイスラエルでの会見で、「危害を加えず、直ちに解放するよう強く要求する」と表明。「人命を盾に脅迫することは許し難い。国際社会はテロに屈せず対応する必要がある」と、強く非難した。
ビデオ声明は中東歴訪中の安倍首相が17日にエジプトでの演説でイスラム国対策として2億ドルの拠出を表明したことについて、「日本国民に告ぐ。おまえたちの政府はイスラム国と戦うのに2億ドル支払うという愚かな決定をした」とし、身代金の根拠を説明。これに対し、安倍首相は会見で「避難民が命をつなぐための支援だ。医療や食料をしっかりと提供していくのは日本の責任だ」と語り、支援を継続する考えを強調した。
イスラム国系のメディアが編集したとみられるビデオは、1分40秒ほどで、アラビア語の字幕で「日本の政府と国民へのメッセージ」と表示。冒頭で安倍首相がイスラム国対策を表明した際のニュース映像が流れた。その後、黒い布と服で顔と全身を覆った男が、両脇にオレンジ色の服を着てひざまずかされた日本人とみられる男性2人にナイフを向けるなどしながら、英語で淡々と語っている。2人にはアルファベットでそれぞれ「ケンジ・ゴトウ・ジョゴ」「ハルナ・ユカワ」との字幕が付けられていた。
男は「日本の首相へ。日本はイスラム国から8500キロも離れていながら、進んで十字軍に参加した」と主張。「日本国民に告ぐ。おまえたちにはこの日本人らの命を救うのに2億ドル支払うという賢明な判断をするよう政府に迫る時間が72時間ある。さもなければ、このナイフがおまえたちの悪夢となるだろう」と脅した。
湯川さんはシリア反体制派「自由シリア軍」やイスラム戦線などの混成部隊に同行していた昨年8月、シリア北部アレッポ郊外でイスラム国に拘束された可能性が出ていた。後藤さんは昨年10月に内戦が続くシリアに取材に向かったまま、連絡が取れなくなっている。
イスラム国は、ジャーナリストら外国人を次々に拉致して身代金を要求し、目的を達成できなかった米、英国人の人質の首を斬り、殺害する映像を相次いで公開した。身代金を支払ったとみられるフランス人らが解放されたケースも少なくない。
今回のビデオ声明の男について、米英メディアは、殺害映像などに度々登場した英国人の戦闘員と同一人物である可能性が高いと報じた。(SANKEI EXPRESS)