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【勝つための食育 管理栄養士・大前恵】試合・練習中 正しい水分補給を

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【勝つための食育 管理栄養士・大前恵】試合・練習中 正しい水分補給を

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休憩時間にしっかりと水分補給する選手たち(明治提供)  「えっ、うそ」。5年ほど前に驚かされたことがあります。

 長年にわたり、栄養面からサポートしている米大リーグ、レッドソックスの上原浩治投手のトレーナーと話していたときのことです。上原投手が日本のプロ野球に入って4年目から担当してきましたが、今ではコンディショニングへの意識もすごく高いアスリートです。そんな彼が、練習中や登板前後に、水分補給をほとんどしていないというのです。

 「そんな当たり前のことが…」。食生活や栄養面からさまざまなアドバイスを送ってきた私にとって、盲点を突かれた感覚でした。

 40歳になった上原投手たちの年代の子供のころは、「練習中に水を飲むな」という間違った根性論がまだまだまかり通っていました。子供時代の間違った習慣付けの結果、あれだけ意識の高い選手ですら、スポーツをする上での基本が抜けていたのです。上原投手と同級生の高橋由伸(よしのぶ)選手(巨人)にも念のために確認してみると、やはり水分補給への意識は低かったのです。

 「これはマズい」。すぐに水分を摂取する大切さを説いたことを思い出します。体内の水分不足は、実はけがにもつながりやすいのです。当時の上原投手が太もも裏の肉離れに苦しんでいたこととも決して無縁ではないように思いました。最近の上原投手が故障しにくい体になったことの背景には、習慣付けされた水分補給も一因になっているはずです。

 体調不良、けがの元に

 もうすぐ、夏本番を迎えます。管理栄養士の立場からも、夏のスポーツでとても注意が必要なのが、水分補給です。

 これは一流のアスリートだけに限ったことではありません。将来のプロ選手やオリンピック、パラリンピックを目標に頑張っている子供たちやクラブ活動に励む生徒の皆さんにも共通することです。

 体内の水分が不足することと、スポーツのパフォーマンスがどう関係するのか。簡単に解説します。まず、体は運動をして熱を持つと、汗をかくことで体温を調整します。しかし、水分が足りないと、汗がかけなくなって、体温上昇を余儀なくされます。その結果、体調不良を感じたり、いわゆる熱中症になったりし、血の巡りも悪くなって疲労やケガにつながってしまうのです。

 体内の水分不足は筋肉にも悪影響を及ぼし、足がつってしまったりもします。試合でそんなことになれば、せっかく練習してきたのに良いパフォーマンスが発揮できなくなります。

 水分を補給していても、汗をかくと、一緒に体内のミネラルも排出されます。そうなると、やはり体をうまく動かすことができなくなります。このため、私はスポーツドリンクを適度に飲むことを勧めています。

 カルシウムやカリウム、ナトリウムなど汗で体外に出てしまう栄養素が入っているため、うまく体調を整えることができるからです。吸収の早い「ハイポトニック」という設定のものはお勧めです。市販のスポーツドリンクは糖分濃度が高く吸収速度が遅いものが多いので、水で薄めると体内への吸収が早くなります。

 15分おき250ミリリットルずつ目安

 大切だからといって、やみくもに水分をとればいいかというと、決してそうではありません。

 適度な補給の方法を説明します。練習前と後で体重を量り、減った分が体内から汗で出た水分だと考えてください。つまり、2時間の練習で途中に1リットルの水分補給をし、練習後に体重が1キロ減っていたら、トータル2リットルの水分が体内から失われたことになります。練習中は15分おきを目安に250ミリリットルずつ計2リットルを補給する必要があります。

 練習や試合の途中にタイミングよく水分補給できないこともあるので、できれば30分前までに、スポーツドリンクや水などを500ミリリットルほど飲んでおくとよいでしょう。サッカーや野球ではポジションによっては、なかなか水分を補給するタイミングがないので、特に注意が必要です。

 積極的な水分補給は野球やJリーグなどプロの世界でも当たり前になりつつあります。指導者や保護者の皆さんは、未来のスーパースターを目指す子供たちの健康に改めて気を配ってあげてください。ベストな体調でこそ、ベストなパフォーマンスを発揮できます。

 トップアスリートを担当する管理栄養士の立場から、子供たちにとっての食事や栄養摂取の大切さを紹介していきます。(管理栄養士 大前恵(おおまえ・けい)/SANKEI EXPRESS

 ■おおまえ・けい 1968年1月10日生まれ。大妻女子大家政学部・食物学科卒業時に管理栄養士の資格を取得。PR会社勤務、主婦を経て1999年に明治に入社。プロ野球やサッカーの選手らを栄養面でサポート。明治がサポートする野球日本代表「侍ジャパン」やバレーボール女子日本代表などの大会や合宿などにも帯同する。モットーは「栄養にできることはたくさんある」。

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