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野放しドローン、ついに拳銃搭載 米大学生がネットに発砲動画、全米で物議
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使い方一つで有用にも武器にもなる可能性を秘める小型無人機「ドローン」。国内外を問わず、ガイドラインなどルール作りが急がれる=2014年1月8日、米ネバダ州ラスベガス(AP) 動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップされた約14秒の動画が、全米で物議を醸している。タイトルは「フライング・ガン(空飛ぶ銃)」。小型無人機「ドローン」に拳銃を取り付け、雑木林で4発発射した様子を撮影したもので、投稿者は東部コネティカット州に住む男子大学生(18)だ。これまでに被害報告はないものの、事態を重くみた米連邦航空局(FAA)が、連邦航空法など法律違反がないか調査を開始。米国内でも、ドローン使用に厳格なルール作りを求める声が高まっている。
米CNNテレビ(電子版)やAP通信などによると、大学生はセントラル・コネティカット州立大に通う2年生という。大学生は、自宅敷地内の雑木林で拳銃を付けた自作のドローンを飛ばし、ホバリング状態で4発発射させた。動画は約14秒と短いものだが、投稿後約2週間で閲覧は200万回を超えているという。
大学生の父親は、米誌ニューズウィーク(電子版)など複数のメディアの取材に応じ、大学生がドローンを作ったのは授業の一環で、教授のアドバイスも受けたという。だが、ドローンを使った“武器”があまりに簡単に作れることが明らかになったことで、ユーチューブの投稿に対し怒りや疑問の声が1400件以上も寄せられた。市民の拳銃所持の権利保護を主張する人からも「『銃は人を殺さない。人が人を殺す』というスローガンを、『銃は人を殺さない。拳銃付きドローンが人を殺す』に変えるべきだ」という声も上がっているという。
こうした批判に、大学生の父親は「あれはドローンではなく、ラジコンの車や飛行機と同じで、ラジコンのクワッドローター(4つの回転翼で飛ぶ小型機)だ」と反論。さらに、「メディアは公共の場で恐怖をあおるような不適切な用語を使っている」と、報道機関にかみ付く始末。
投稿者の大学生が、ドローンをめぐって騒ぎを起こすのは、今回が初めてではない。昨年6月、コネティカット州のビーチでドローンを飛ばし、上空から勝手に女性を撮影。怒った女性とつかみあいのけんかになり、警察が出動したことも。
ドローンをめぐるトラブルの背景には当局のガイドライン策定など対策が後手後手に回っている状況もある。
FAAは2007年から、ドローンなど無人機の利用は軍事目的限定と明言していた。しかし、昨年6月に商業利用を一部解禁。今秋をめどに、ガイドラインなどを取りまとめる作業中で、厳格なルールや禁止事項などは決まっていないのだ。
このため、大学生が住む地区を管轄するクリントンの警察当局は、CNNに「ドローンはいまの法律(の解釈)を上回る技術だ。ドローンの武器装着を禁止する法律解釈は存在するはずだが、今はそれが見つからない」と困惑する。
こうした曖昧な状況のなか、米ではドローンをめぐる物騒な事件は後を絶たない。今年1月には酔っぱらった米情報機関の職員がホワイトハウスの敷地内でドローンを飛ばし、墜落させたほか、5月にはホワイトハウスのフェンス越しにドローンを飛ばそうとした男が大統領警護隊(シークレットサービス)に拘束された。
また、17日にカリフォルニア州で起きた山火事では、現場撮影のために飛ぶ複数のドローンが消防飛行機の接近を邪魔したため、消火活動が遅れる一因にもなった。こうした状況を受け、厳格な法規制を求める声が上がったばかり。そのうえ今回は武器装着という新たな問題も加わり、当局の悩みは大きい。
日本でも今年4月、首相官邸の屋上にドローンが落下する事件があったのは、記憶に新しいところ。米の騒動は、決して対岸の火事で済まされない。(SANKEI EXPRESS)