SankeiBiz for mobile

崇高で美しい人々の姿がここに 乾ルカ

記事詳細

崇高で美しい人々の姿がここに 乾ルカ

更新

 若者はぜひ一読を

 本書は紛れもなく日航機123便の悲劇を遺体の身元確認という特殊な立場から描き出した傑作ですが、私はそれに加えて、職業意識のあり方をも見事に提示していると思います。この中に出てくる身元確認に関わった方たちのほとんどは、嘔吐(おうと)し、食欲を無くし、疲れ切り、体中に死臭をしみつかせながらも、現場からけっして逃げはしません。どれほどつらくとも、これは自分の仕事、自分がここを放り出したら誰がやるのだと、強い意志をもって検視をこなしていきます。その姿は崇高で非常に美しい。自分には決してできないことだと確信しながら、それでもこんなふうに強い責任感を持って真摯(しんし)に仕事に向き合う看護師になりたかったと、初読時は思いました。いわゆる『社畜』を礼賛しているのではありません。そんな次元ではないのです。

このニュースのフォト

  • 町内会の夏祭り、年に一度のハッピ姿で気合を入れる乾家の愛犬・まるが北海道の四季をお伝えします=2015年8月2日、北海道札幌市(乾ルカさん撮影)
  • 「墜落遺体_御巣鷹山の日航機123便」(飯塚訓著/講談社+α文庫、853円、提供写真)
  • 作家の乾ルカさん。父親を見送って、作家としても心境の変化が生まれた。「今まで死者の思いを書いてきましたが、残された人間の『悔い』を書きたいですね」=2015年6月9日(塩塚夢撮影)

ランキング