【溝への落とし物】時の流れ 本谷有希子
更新時の流れに反撃されたようなショックにしばらくその場でたたずんでいると、犬がわんと鳴いて、ぐいぐい歩き出した。なんだこいつ。急にこの犬が自分にまったく関係ないことを思い出し、私は腹が立った。ここが、故郷であるといわれても、納得がいくものか。しかし、犬は止まらない。引きずられるようにして、私はちっとも記憶にない道をふぬふぬ言いながら、歩き続けたのだった。(劇作家、演出家、小説家 本谷有希子/SANKEI EXPRESS)
時の流れに反撃されたようなショックにしばらくその場でたたずんでいると、犬がわんと鳴いて、ぐいぐい歩き出した。なんだこいつ。急にこの犬が自分にまったく関係ないことを思い出し、私は腹が立った。ここが、故郷であるといわれても、納得がいくものか。しかし、犬は止まらない。引きずられるようにして、私はちっとも記憶にない道をふぬふぬ言いながら、歩き続けたのだった。(劇作家、演出家、小説家 本谷有希子/SANKEI EXPRESS)