SankeiBiz for mobile

【Message from the Ocean】(13)ラバウル 戦火の痕跡 火山が埋める

記事詳細

【Message from the Ocean】(13)ラバウル 戦火の痕跡 火山が埋める

更新

 左舷を上にして横倒しになっている船の、横っ腹に被弾して大きく口を開けた部分から船内へとさらに潜降を続ける。内部に入る前に、ガイドに気づかれないように、短く手を合わせた。

 横倒しになっているということを意識しなければ、それが普通の状態であるという錯覚を覚えてしまいそうだ。一瞬外の明かりが何も見えない暗闇の中を移動することになり、緊張するが、すぐに船体中央にある格納口部分から差し込む青い光が見えてくる。その一筋の光だけで安堵(あんど)する。「きっと霊感の強い人は潜れないんだろうな」。そんなことを考えながら、進んでいく。

 ジョージズレックと発見者の名前が名付けられた貨物船は、当時の日本軍の潜水艦基地の近くの断崖絶壁の海中に、絶壁に向かって垂直な形で沈んでいた。船首は水深12メートル、船尾は水深55メートルにある。船体に被弾し、沈没する前に、多くの物資と人命を守るために、船長がこの貨物船を岸壁につっこませて、座礁させたのだそうだ。しかし、そのときの状況を目の当たりにした老人から聞き伝えられている話では、海面一面が真っ赤な血で覆われていたという。

このニュースのフォト

  • 戦時中の痕跡が残るラバウルの海のリーフは、美しいソフトコーラルが群生している場所が多い=2015年11月9日、パプアニューギニア・ラバウル(越智隆治さん撮影)
  • スロープ状の砂泥池に横たわる零戦には、カラフルなスパインチークアネモネフィッシュが住んでいた=2015年11月11日、パプアニューギニア・ラバウル(越智隆治さん撮影)
  • 海で元気に遊ぶラバウルの子供たち=2015年11月11日、パプアニューギニア(越智隆治さん撮影)
  • 沈船の大きく口を開けた部分から内部へと進入していく=2015年11月11日、パプアニューギニア(越智隆治さん撮影)
  • 海の中だけでなく、ラバウルには陸地のいたるところに先の大戦の名残がある=2015年11月13日、パプアニューギニア(越智隆治さん撮影)
  • 海の底に眠る零戦。パイロットは無事に脱出できたのだろうか=2015年11月11日、パプアニューギニア・ラバウル(越智隆治さん撮影)
  • 火山観測所から、シンプソン湾とラバウル市街を眺める。中央の黒い山がいまだに活動を続けるタブルブル山=2015年11月13日、パプアニューギニア・ラバウル(越智隆治さん撮影)
  • パプアニューギニア・ラバウル
  • 海洋フォトジャーナリスト、越智隆治(おち・たかじ)さん=2013年1月14日(本人提供)

ランキング