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マレーシア、航空機整備に注力 エアバスとも協力 2万人雇用創出
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マレーシアは航空市場が急拡大するアジア太平洋地域で、航空機の整備拠点を目指す。ナジブ首相は航空機の整備・修理(MRO)分野を雇用創出に貢献する重要事業と位置付け、政府として成長を後押しする意向を示した。同国は今年、機体整備などで約24億リンギット(約743億円)の売り上げを見込んでおり、今後は年10%のペースで拡大、最終的に2万人の雇用を創出するとしている。現地紙ニュー・ストレーツ・タイムズなどが報じた。
同国のMRO分野の核となるのは、欧州航空機大手エアバスが40%を出資する合弁企業セパン・エアクラフト・エンジニアリング(SAE)。2006年創立の同社は今年、4000万リンギットを投じて、マレーシア西部のセランゴール州セパンにエアバスのA320型機を3機同時に格納できる格納庫を新設した(敷地面積は1万3000平方メートル)。
SAEの現在の取引先は、格安航空会社(LCC)アジア最大手エアアジアのマレーシア、タイ、インドネシア各現地法人や、シンガポールのタイガー・エアウェイズ、インドネシアのマンダラ航空、マレーシアのファイアフライ航空といったLCCとミャンマー国際航空、ベトナム航空など。格納庫新設による事業拡大でアジア地域のLCCをさらに呼び込みたい考えだ。
同社は15年までに従業員を現在の400人から600人に増員し、売り上げに占める外国の航空会社の比率を50%以上に引き上げるとしている。
また、エアバスは新格納庫に隣接して同社のカスタマーサービス・センターを設置する。同様の施設は仏トゥールーズ、独ハンブルク、米ウィチタ、中国の北京にあり、マレーシアは同社の整備・修理のグローバルサービスネットワークに組み込まれる形となった。
エアバスのブレジエ最高経営責任者は「東南アジアの航空市場は巨大な可能性を秘めている」と述べ、同センターで新たに整備員100人以上を雇用する考えを示した。同社は今後20年間の世界の航空機需要が約3万機(総額4兆4000億ドル=約429兆5720億円)に達すると予想、うち47%がアジア太平洋地域に集中するとしている。
マレーシアのMRO分野の最大の課題は、質の高いサービスを提供する人材の確保とみられている。これに対し、ナジブ首相は「エアバスと緊密に協力し、優秀な人材の育成に当たりたい」と述べた。(シンガポール支局)