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マレーシアの新車販売正念場 政権の値下げ公約で買い控え

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

マレーシアの新車販売正念場 政権の値下げ公約で買い控え

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 マレーシアの新車販売が正念場を迎えている。マレーシア自動車協会(MAA)によると、今年上期(1~6月期)の新車販売台数は前年同期比4.1%増の31万3488台だった。5月が前年同月比14.9%減の4万9634台、6月が同5.3%減の5万3631台で2カ月連続の前年割れとなっており、自動車業界は危機感を強めている。現地紙スターなどが報じた。

 同国では今年5月に総選挙が行われ、与党連合の国民戦線が2017年までに新車販売価格を20~30%引き下げることを公約に掲げて勝利した。MAAはこの公約が値下げを期待する消費者の買い控えにつながったと分析している。

 政府の値下げ公約は、現在、車種によって65~120%を課している物品税の減税が念頭にあるとされる。これに対してMAAのアイシャ会長は物品税が年間70億リンギット(約2195億円)の税収となっていることを指摘し、減税は赤字削減を目指す政府方針と矛盾するとの見解を表明。「値下げはメーカーの判断に委ねるべきだ」として物品減税への反対姿勢を鮮明にした。

 また、同国では個人負債の増加にともなってバンクネガラ(中央銀行)が自動車ローンを含む個人融資の規制強化に動き出しており、新車販売にも低所得層の買い控えなどの逆風になるとみられている。アイシャ会長も「下期は自動車業界にとって試練の時となる」と述べた。

 一方で、メーカー各社は巻き返しに向けて販促活動を強化中で、年後半にかけては新モデルの投入も相次ぐ予定だ。政府も新車販売の減速を受け、通産省幹部が自動車の物品減税を今すぐに行う予定はないと言明。新車の販売価格はメーカーが決定するため、たとえ物品減税が実施されても値下げに直結するかどうかは不透明だとの見解を示した。

 専門家は消費者の買い控えについて、「値下げ期待はメディアの報道による雰囲気先行の要素が強い」と述べ、下期はメーカーの販促、新モデル投入が功を奏して販売が持ち直すだろうと予想した。

 こうした流れを受け、MAAは今年の年間販売目標を前年比2%増の64万台に据え置いている。

 なお、上期のメーカー別ではプロドゥアが前年同期比4.3%増の9万6873台で首位、プロトンが6万4782台(11.1%減)で2位と国民車メーカー2社が2強の地位を守った。

 以下、トヨタが4万3747台(15.1%減)、日産が2万6268台(58.9%増)、ホンダが2万1869台(約2.2倍増)と日系各社が続いた。(シンガポール支局)

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