SankeiBiz for mobile

インドネシア、違法伐採懸念を払拭 木材輸出倍増へEUと協定

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

インドネシア、違法伐採懸念を払拭 木材輸出倍増へEUと協定

更新

 インドネシアは先進諸国の間で根強い森林の違法伐採への懸念を払拭し、木材・木材製品の輸出増を図るために欧州連合(EU)と新協定を今年9月に締結した。

 インドネシア貿易省は新協定で、来年のEUへの木材・木材製品輸出が20億ドル(約1990億円)に倍増する可能性があると期待を寄せている。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。

 両者が締結した「自主的2国間協定」(VPA)では、生産国が木材・木材製品の合法性を確約したうえで輸出する。EUは違法伐採で生産された木材・木材製品の取引禁止などを定めた新木材規制を今年3月から域内で適用している。

 協定締結によりインドネシア側がこの基準を満たしていることを審査によって証明する責任を負うこととなった。EUが同様の協定を締結するのはアジアではインドネシアが初めて。

 インドネシアからEUへの木材・木材製品の輸出額は2008年の13億8000万ドルをピークに、その後、欧州各国での違法伐採に対する問題意識の高まりを受けて減少に転じていた。12年の輸出額は9億3486万ドルで、今年も10億ドル程度にとどまると予想されている。

 インドネシアのズルキフリ林業相は協定締結について、「違法伐採を許さない断固たる決意と、合法的な取引を推進する意欲の表れだ」と述べ、輸出増への期待を表明した。

 また、貿易省の幹部が「豪州や米国が同様の仕組みを模索しており、その動向を注目している」と述べるなど、規制の厳格なEUとの取引が増加することによって他の輸入国への波及効果もあるとみられている。

 環境団体などからは、インドネシア国内にはびこる汚職や腐敗を一掃しないかぎり、違法伐採の問題は解決しないとする厳しい声も上がる。同国が持続可能な林業の発展を実現できるか、今後の展開に注目が集まりそうだ。(シンガポール支局)

ランキング