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ベトナム繊維・縫製業、目標上回る勢い 年間輸出200億ドル見通し
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ベトナムの繊維・縫製産業の輸出額が今年、200億ドル(約2兆306億円)に達する見通しだ。ベトナム繊維協会(Vitas)の今年の目標額190億ドルを10億ドル上回る勢いで、今後、原材料の生産拡大や生産形態の移行で、さらなる輸出拡大を目指す。現地紙ベトナム・インベストメント・レビューなどが報じた。
ベトナム商工省によると、今年1~10月の繊維・縫製産業の輸出額は、前年同期比18.7%増の148億ドルに達した。Vitasのファム・スアン・ホン副会長は、年間輸出額はここ数年、平均年率15%増で成長していると指摘。その上で「ベトナム政府の輸出促進策と、繊維・縫製会社の企業努力の結果だ」との見方を示している。
今後、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が、ベトナムの繊維・縫製産業に、さらなる恩恵をもたらすと期待される一方で、懸念も広がっている。TPPで関税の優遇を受けるためには、輸出製品の原材料は現地調達、もしくはTPP参加国から輸入しなければならないという規定があるからだ。
昨年、ベトナムの繊維・縫製産業で使用した綿花42万トンのうち、99%に相当する41万5000トンは輸入品となっており、ベトナムは自国での原材料の調達率が低い。
そのため、原材料の生産増強に向けての投資も活発化。昨年の輸出向け繊維・縫製品の原材料の現地調達率は20~30%だったが、現在、40~50%にまで増加した。
また、同副会長は生産形態に関して「これまでの委託生産から、材料を購入し、製品を生産、販売する形へと移行していくことで、より付加価値の高い製品を生産でき、近隣国との競争力向上にもつながるだろう」と述べ、生産力向上に向け改革の必要性を強調している。(シンガポール支局)