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航空再編、世界でうねり 米3強競り合い、中東・アジアも存在感増す

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

航空再編、世界でうねり 米3強競り合い、中東・アジアも存在感増す

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 【ワシントン=柿内公輔】世界規模で航空業界に大きな再編のうねりが起きている。主役は航空大手が3社に集約された米国と、躍進する中東や成長市場のアジアで、欧州も再編機運が高まってきた。航空連合の綱引きも激しさを増し、大空の覇権争いは国境を飛び越え熱気を帯びている。

 ≪米国≫3強が競り合う

 アメリカン航空の親会社AMRとUSエアウェイズが今月合併して誕生した新生アメリカン航空。米ユナイテッド航空と米デルタ航空を抜き世界最大手に立ったが、「3強」の有償旅客距離はほぼ互角だ。

 米国内にもはや再編の余地はなくなり、フルフラット座席の拡充などサービス競争が進む一方、「一歩抜け出すための海外戦略の強化」(アメリカン幹部)が各陣営に共通する課題で、提携も重要な戦略だ。デルタが英ヴァージン・アトランティック航空へ49%の出資を決めたのも、共同運航を通じて手薄な大西洋路線を強化する狙いがある。

 3強は各国の航空会社が提携する国際航空連合のそれぞれリーダー格でもある。アメリカン率いる「ワンワールド」にカタール航空が10月に加盟したが、ユナイテッドが盟主の「スターアライアンス」、デルタが引っ張る「スカイチーム」のいずれも、フィリピン航空など非加盟の有力エアラインを自陣営にどれだけ引き込めるかが今後の焦点だ。

 ≪中東・アジア≫新興企業に勢い

 実際、中東やアジアの新興エアラインの勢いは目を見張る。豪カンタス航空は昨年、親密だった英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)から、アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空との提携に乗り換えた。そのBAはワンワールド入りしたカタールとの関係強化に動いている。

 エミレーツもカタールも米ボーイングや欧州エアバスに旅客機を大量発注。空港開設も相次ぐ中東は、アジアと欧米を結ぶ要衝として存在感が増している。

 ≪欧州≫アリタリア注目

 欧州では経営難に陥っているイタリア最大手のアリタリア航空が再編の目玉だ。再建を支援してきた大株主のエールフランスKLMが追加支援に慎重で、スポンサー探しが加速。

 ロシアのアエロフロートやアイルランドの格安航空(LCC)ライアンエアーが取り沙汰され、業界関係者は「中東のエアラインと手を組む可能性もある」と指摘するなど観測が広がる。

 国際航空運送協会(IATA)は、2014年の業界全体の利益が過去最高の197億ドルに達すると予測するが、足元の燃料価格の落ち着きが大きく、低利益体質は変わっていない。規模拡大でコスト削減を目指す動きは今後も続きそうだ。

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