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タイ、人身売買で制裁の危機 米報告書で最低ランク指定

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

タイ、人身売買で制裁の危機 米報告書で最低ランク指定

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 タイが米国による経済制裁の危機に直面している。米国務省が先月発表した人身売買に関する年次報告書で、各国の人身売買への取り組みを格付けした4段階評価の最低ランクに当たる4番目にタイがマレーシアなどとともに指定された。今後、米国による支援停止や取引禁止といった制裁につながる恐れがある。現地紙ネーションなどが報じた。

 タイはここ数年、格付けの3番目にあたる要監視国に指定され、改善勧告を受けてきた。同報告書はタイの格下げについて、これまでの勧告に対して最小限の施策も講じてこなかった結果とし、同国が人身売買の終末点となり、被害者を水産業や繊維・縫製業といった産業で搾取的労働に従事させているためと説明した。

 同国政府の取り組みについては、人身売買に反対する法律の制定など一定の努力はみられるとしながらも、汚職などで実行がともなわず、結果として人身売買の根絶に向けた具体的な成果が上がっていないと厳しい評価を下した。

 タイにおける人身売買は、英紙ガーディアンが6月、同国の水産業における特集記事を掲載するなどして注目を浴びた。同紙によると、ミャンマー人やカンボジア人など多くの外国人がタイの漁船で労働を強制され、こうした漁船で獲れた魚が食品大手チャローンポーカパン(CP)フーズのエビ養殖場の餌などに使用されていたという。

 この報道を受けて、CPフーズは今後、人身売買と関わっている疑いのある事業者との取引を停止すると発表。仏小売り大手カルフールなどが同社との取引停止に動いた一方、世界小売り最大手の米ウォルマートや英大手テスコは取引継続の意思を表明するなど、記事は大きな反響を呼んだ。

 この報道に続いて米国の報告書でも名指しされたことを受け、タイの水産業界は火消しに躍起になっている。

 タイ冷凍食品協会のポット会長は、他の7つの業界団体と連名で、格下げが「不公正」で真実を反映していないとする声明を発表した。

 また、同会長は「タイの水産業は長年、強制労働や児童労働など人身売買関連問題の解決を目指してきた。生産過程にそうした問題はないと断言できる」と述べ、各国の輸入業者やNGO(非政府組織)に対し、実際に同国を訪れて水産業の実態をつぶさに調査してほしいと要望した。

 米国は報告書の発表から90日以内に制裁措置について決定する。タイ政府は代表団を同国に派遣するなど制裁回避に向けて全力を挙げる方針だ。(シンガポール支局)

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