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農業アシストスーツ開発支援 ロボット産業革新の一環で農水省
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和歌山大学のロボティクス研究室が開発した農業用のアシストスーツ。約20キロのミカンのケースを半分の力で運搬できる(同大提供) 農林水産省が2015年度から、農業従事者向けロボットの開発支援に乗り出すことが12日、分かった。安倍晋三政権が成長戦略の柱に掲げた「ロボットによる産業革新」の一環。収穫した農産物の積み降ろしをする際に腰や足にかかる負担を軽減する「アシストスーツ」について、量産に必要な費用を半分程度補助する。スーツは和歌山県などの大規模ミカン農家に貸与し、実証実験に取り組む。
農業従事者の高齢化を受け、農水省は農作業の省力化や負担軽減につながる新技術の普及拡大を急いでいる。中でも、量産化しやすいアシストスーツの普及促進を重点的に進めるべきだと判断した。アシストスーツは人間の筋力をロボットが補助し、動作を支援する仕組み。重さは7~8キロが主流で、約1分程度で装着できる。
農水省は、農業用に特化したアシストスーツを年間約100台程度の規模で製造できる企業や研究施設などを支援する考え。
内容は今後詰めるが、量産に必要な原材料費や設備投資などについて総額の2分の1程度を補助する制度を創設する方向だ。また農家での実証実験の費用も半額程度を補助する方針。
具体的には、20キロ以上の重量がある運搬作業が多いミカン農園での使用を想定している。和歌山県や愛媛県などで4ヘクタール以上の大規模農家を対象に実証実験に取り組むことになりそうだ。
アシストスーツは、高齢化や人手不足など農業の現場が抱える課題の解決に役立つと期待されており、研究開発が進んでいる。ただ、現在は1台当たり100万~200万円と価格は高い。農水省は「本格的な普及には1台50万円以下にする必要がある」とみており、量産企業への補助でコストダウンを後押しし、5年後に全国の農家で1000台以上の普及を目指す。
農水省はロボット技術を活用し、アシストスーツのほか自動走行が可能なトラクター、除草ロボットなどの浸透を図り、農業の技術革新を進める考えだ。