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ファッション化するジルバブ インドネシア 女性の着用急増

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

ファッション化するジルバブ インドネシア 女性の着用急増

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イスラムファッション衣料店「ゾヤ」。約1メートル四方の大きさのジルバブが主流だが、最近は腰までかかる大きめのタイプがトレンドだという=西ジャワ州・デポイック  ジルバブと呼ばれるスカーフを巻いた女性がウインドーショッピングをして楽しむ。インドネシアの首都ジャカルタの繁華街ですっかり見慣れた光景だ。だが、15年前はジルバブ姿の女性をほとんど見かけなかった。

 ジルバブは、イスラム教徒の女性が髪や首などを覆うために使われる。中東地域などのイスラム教徒の女性は全身まで覆うブルカを使用するが、インドネシアではジルバブが一般的だ。1998年まで続いたスハルト政権下では、民族色や宗教色を強く打ち出すことが抑圧されていたため、都市部でジルバブを巻いている女性は100人に1人か2人といった程度だった。

 ◆若手デザイナー台頭

 民主化の時代に入って個人の言論・表現が自由化され、2000年代前半からジルバブをする女性が増え出し、いまではイスラム教徒の女性の約半数がジルバブを身につけている。

 大学生のリニさん(20)は8年前の中学入学と同時に自らの意思でジルバブを使い始めた。「初めは少し暑かったけどすぐに慣れた。ジルバブをしていると神様に守られている気がして心が安らぐ」とほほ笑む。

 20代後半の女性も「ジルバブをすることで、男性からの対応も丁寧になり、女性保護にもなる」とジルバブの効能を説明する。

 その一方、ここ10年間でジルバブを使う女性が増えたもう一つの理由としてリニさんは「おしゃれのためにする人が多い」と実情を打ち明ける。いまやジルバブは貴重なファッションアイテムだ。

 ジルバブのファッション化に拍車をかけたのが、女性イスラムファッションデザイナーのディアン・プランギさん(23)だ。まだ10代だった08年から活動を始め、いまではフランス・パリをはじめ欧米でも活躍する若手デザイナーの旗手。彼女の作品はインドネシアの伝統工芸バティック(ろうけつ染めの布)などを素材に使い、カラフルでスタイリッシュなことが若者を中心に人気を集めている。

 ◆「信仰心変わらない」

 さらに彼女は、ウェブサイトなどでさまざまなジルバブの巻き方を紹介して女性たちの心をつかんだ。ジルバブに幾重かの折り返しを加えたもの、首から下の部分を右や左へ流したもの、ワンポイントの飾りを付けたものなど、彼女の影響を受けたスタイルでジルバブをまとった女性が街を行き交う。

 こうした流れに対し、ジルバブの本来の目的が変わってきたと批判する年配者やイスラム関係者もいるが、前述の20代後半の女性は「もちろん、信仰心は変わらないから問題ないのでは」と受け流す。

 一般の女性が使うジルバブは1枚100~200円程度のものが大半で、1人平均10~20枚を所有し、毎日、「着替え」ている。おしゃれ好きな女性は50枚以上も持っているという。

 全国に100店以上の支店を持つイスラムファッション衣料店「ゾヤ」は、デザイナーが手がけたカラフルな模様の入ったジルバブなどイスラム衣装を販売している。ゾヤで売れ筋のジルバブは約800円。一般のものと比べるとかなり高価だ。30代前半の若い婦人が客の主流で、年々、来客数も増えているという。

 信仰上の論議はあるものの、「寛容の国」インドネシアでのジルバブをはじめとしたイスラムファッションの流れは、今後も女性の心をつかみ続けそうだ。(在インドネシア・フリーライター 横山裕一)

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