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韓国財閥支配への恨み節噴出 3世と一般人…歴然たる格差の実態

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

韓国財閥支配への恨み節噴出 3世と一般人…歴然たる格差の実態

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報道陣の前での謝罪に追い込まれた大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョンア)前副社長  韓国財閥への風当たりが強まっている。大韓航空の乗務員に対するパワハラ行為がもとでフライト時刻まで遅れたいわゆる「ナッツリターン」が引き金となり、財閥の暗部にスポットがあたり始めたからだ。韓国メディアによると、主要グループの財閥3世は、入社して平均約3年後の31・2歳にして役員相当の座を得ていることが明らかになった。大企業の正社員になるだけでも幸運な韓国で、格差への不満の矛先が財閥に向けられている構図だ。

 財閥族との待遇差は歴然

 驚くようなデータが韓国ハンギョレ新聞(電子版)に示された。

 現代自動車やサムスン電子など韓国の主な15グループ企業の「財閥3世」の昇進を調べたところ、平均28・1歳で入社して、31・2歳で役員になっていたというのだ。役員昇進までわずか3・1年の超スピード出世だ。

 大卒が役員になれても約22年かかり、45歳くらいになれば肩たたきの憂き目にも合う韓国の一般的なサラリーマンに比べると、その待遇の差はあまりに大きい。

 しかも足元の韓国の景気低迷は容赦なく、労働者を追い込んでいるようだ。

 「崖っぷちのサラリーマン」と題して韓国のリストラを伝えたのは中央日報(電子版)。主要な上場企業の事業報告書を調べたところ、今年に入って9月末までに2万7800人が会社を辞めていた。

 同紙は「憧れの対象である大企業の会社員ですら1日に102人の割合で会社を去っている」と指摘。有識者の声を引用して、来年も「サラリーマンの危機はさらに深まるだろう」と予想した。

 若者が置かれた状況はもっと深刻だ。15~29歳の若年層のうち、就職せず、教育も受けずいない「ニート」と位置付けられた若者の割合は18・5%にのぼり、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均15%を超える水準にある。

 「資産家」女性は財閥系

 韓国の富は、その多くを財閥企業が握っているのが実態だ。

 聯合ニュースが伝えた財閥ドットコムの調査(今年7月末現在データ)によると、韓国で資産が1兆ウォン(約1075億円)を超える資産家は35人。このうち自力で会社を設立し富を築き上げた資産家は賃貸住宅やゲーム、インターネット事業などで成功した10人にすぎない。

 資産家上位400人のうち、女性は全体の6・8%にあたる27人いたが、すべてが財閥出身か財産相続者だったという。

 こうした韓国社会にある苛烈な競争と格差への不満が溜まっている中で起きたのが、財閥3世である大韓航空機の趙顕娥前副社長によるパワハラ行為だったのだ。

 創業者、2世の苦労も水の泡…

 大韓航空の趙顕娥前副社長が乗務員に、ファーストクラスでのナッツの渡し方がおかしいと憤慨し、サービス責任者を降ろさせて運航を遅らせたことは世界でニュースとなり、韓国財閥の同族経営のリスクも浮き彫りにしている。この問題は、単なる不祥事にとどまらず、良くも悪くも財閥に支えられた韓国経済の実態をあらわにしている。

 毎年約500億ウォンの広告費を支出している大韓航空だが、ハンギョレ新聞は「趙副社長が負わせたブランドイメージの損失はそれをはるかに上回るものと推定される」と指摘する。

 朝鮮日報は顕娥前副社長の父の亮鎬氏が平昌冬季五輪の誘致に奔走し、祖父の創業者の重勲氏がアジア通貨危機下で雇用を守り抜こうとした努力の評価が水の泡となり、「3世教育を誤った財閥企業」との不名誉なレッテルだけでが残ったと嘆いた。

 派手な広告、情報通信に頼る3世?

 世襲の経営陣の実像はどんなものなのか。

 ハンギョレ新聞は、大韓航空だけでなく、エレベーターターに乗り合わせた従業員にタバコの臭いがするとして解雇したり、立腹して暴言や暴力をふるったりする世襲役員らがいると紹介した。

 ある韓国の巨大グループ企業の重鎮の意見として「苦労した創業者、その過程を見守った2世とは違い1970~80年代の高度成長に生まれた財閥3世には経験に差がある」とし、「気楽で派手な広告や情報通信ばかりに集中する傾向がある」との声も伝えた。

 一方、毎日経済新聞が世襲の役員でも優秀な人物がいるとして、財閥を悪玉とする拡大解釈に異論を唱えるなど、議論が広がっている。

 景気減速に伴う労働環境の悪化を踏まえて、朴槿恵政権では、雇用問題が重要政策になってきた。正社員と非正規との格差が焦点となりそうだが、ナッツリターンが顕在化させた韓国国民の財閥への不満が収まらなければ、難題になる恐れがある。

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