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インドネシア、進むスマホ国産化 シェア37%に拡大、現地調達率設定
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インドネシア東部アルー諸島のビーチで携帯電話を使用する少女。同国は低価格化でスマホ市場の拡大が続いている(AP) インドネシアはスマートフォンの国産化が進んでいる。地場メーカーが低価格路線で製造・販売台数を伸ばしているほか、製造業育成を目指す政府が部品の現地調達率を設定する新規制を導入する方針を固めており、今後、国産化の傾向が強まっていきそうだ。現地紙ジャカルタ・ポストなどが報じた。
米調査会社フロスト&サリバンによると、インドネシアのスマホ市場に占める国産スマホの販売シェアは37%に達した。同国では高価格帯機種と低価格帯機種の二極化が進行中。2014年は低価格帯機種の販売台数が約2000万台となり、増加ペースで高価格帯機種を大きく上回ったという。
「ポリトロン」ブランドの低価格スマホを製造する地場ハルトノ・イスタナ・テクノロギは、今年6月までに年産120万台の製造施設を新設し、携帯電話の年間製造能力を360万台に高める。このうち70%はスマホとなる予定だ。
また、「エバーコス」ブランドを製造するアリエス・インド・グローバルも今年は年産80万~100万台の製造ラインをフル稼働させると意気込む。同国は従来型携帯電話から低価格帯スマホへの移行が市場拡大に貢献している。同社幹部は「これまで高価格帯機種を使用していた消費者も、われわれの製品に乗り換える動きが加速する」と述べ、品質にも自信を示した。
今月に同国で発売開始となった米アップル「iPhone(アイフォーン)6」の最低価格が980万ルピア(約9万200円)とされるのに対し、地場勢の販売価格は10分の1程度となっており、今後も低価格を武器にシェア拡大を目指す。
インドネシアのルディアンタラ通信情報相は今年1月、同国で販売されるスマホに対し、部品の現地調達率40%を義務付ける意向を表明した。裾野産業を含めた携帯電話産業の育成と技術水準の向上が目的で、17年1月から実施するという。
同相は「調達率が40%を切る製品には販売を許可しない」と明言し、新規制への決意を示した。この規制を受け、インドネシアでスマホを販売する国外メーカーは製造施設を同国内に建設するか、地場メーカーに製造を委託することになる。
米調査会社IDCによると、インドネシアのスマホ市場は今年、出荷台数ベースで前年比20%増の3000万台となる見込み。今後も成長は確実とみられており、国内外企業による製造・販売の競争が激しさを増していきそうだ。(シンガポール支局)