SaaS~変革のプレイヤー群像

医療現場にもSaaSの波 患者と薬剤師の「架け橋」担う先端クラウド技術 (2/5ページ)

60%以上の削減効果

――Musubiは従来の電子薬歴と大きく異なる新時代のサービスとのことですが、具体的な特徴を教えてください

中川CEO:

 Musubiはコミュニケーションと薬歴記録の両面を担ったサービスで、患者さんにタブレットなどの画面を見せながら服薬指導ができます。薬局は「薬を渡す」ということから「患者さんに服薬指導していく」という対人業務が重視されるようになりました。Musubiでは、画面を見ながら薬剤師と患者さんが会話した内容を、薬歴という記録の形に置き換えられます。薬剤師があとでゼロベースから記録を書く必要がなくなりますので、業務の効率化につながっています。

 いくつかの薬局で従来のやり方とMusubiを使ったやり方を比較したところ、薬歴を書く時間が60%以上削減できたとの結果が出ました。その分、患者さんに医療価値を提供する時間に充てられます。薬剤師がより良い医療を提供し、トータルで問題解決を図ることができます。薬局の役割を拡大させることに注力できるツール。それが大きな特徴です。

 正確な情報に基づく適切な服薬指導も可能になります。例えば、同一の法人の薬局間で、患者さんの情報を連携させ、過去の処方履歴や薬歴を各店舗で確認できますので、複数の店舗を利用する患者さんにとっては「何度も同じことを尋ねられるわずらわしさ」がなくなりますし、安心感にもつながります。これは従来の電子薬歴にはない、クラウド型サービスならではの特徴だと思っています。

 Musubiを利用していただいている薬局の薬剤師さんからは「患者さんとの会話の量と質が高まりました」とか「患者さんとの会話が増えて、地域住民に選ばれる薬局づくりができるようになりました」といった反応が寄せられています。

 今までは薬剤師と患者さんのタッチポイントが“点”でした。病院や薬局でしか触れ合うことはなく、そこでいろいろと薬について説明を受けても、患者さんは全然覚えられないこともあるでしょう。

 実際に、患者さんが困るのは、服薬期間中の飲み忘れや体調の異変です。患者さん自身が気づいていない薬の副作用が発生している場合もあります。患者さんが薬を飲むタイミングで薬剤師が患者さんをフォローアップできれば、気づいていない副作用に気づいてもらうこともできます。こうした丁寧なフォローアップをやろうとすると、従来の方法では患者さんの自宅に薬剤師が電話するということになります。しかし、仕事中など電話に出てもらえないこともありますし、全ての患者さんに電話するのはあまりに手間がかかってしまい、大変でした。

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