社長を目指す方程式

偉大な企業を創った経営者たちが絶対に妥協しない「3つの円」とは (2/4ページ)

井上和幸
井上和幸

 経営者が座右の書として挙げることがおそらく最も多いのが、第2作『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(原書名:GOOD TO GREAT)です。私もまた、本書を初版で購入して以来、折々読み返す一冊です。

 発刊は2001年、ちょうどネットバブルとその崩壊というイベントがありましたが、ムードとしてはシリコンバレーベンチャーが続々とメガ企業へと至る初動の時期にあり、日本でもまたネット系を中心としたベンチャーブームに湧き、新進気鋭の企業が続々と登場し始めた時期でした。そんな中にあって本書が「普通の企業がいかにして偉大な企業へと変化し得るのか」を明らかにした書であり、起業家たちから大手企業経営者までが、「これから自社を偉大な会社にするには」の解を求めて貪り読んだという側面があったかと感じます。

 「第五水準のリーダーシップ」「誰をバスに乗せるか。最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」「厳しい現実を直視する。だが、勝利への確信を失わない(ストックデールの逆説)」「針鼠の概念(三つの円の中の単純さ)」「人ではなく、システムを管理する。規律の文化」「新技術に振り回されない。促進剤としての技術」「弾み車と悪循環」。これらにより、普通の企業、良い企業が、偉大な企業へと至る。ジム・コリンズは、本書をまとめてみて「これは『ビジョナリー・カンパニー』の続編ではなく、前編なのだと気が付いた」と述べています。

 ビジョナリー・カンパニーから転落するとき、復活するとき

 『ビジョナリー・カンパニー1・2』で名声を得たジム・コリンズでしたが、同時に様々な批判も受けることとなりました。その大きな理由が、この2冊で紹介された事例企業の幾つかが、その後「偉大ではない企業」に転落したからです。これについて追分析を行い、その衰退の理由を明らかにしたのが『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』(原書名:HOW THE MIGHTY FALL:AND WHY SOME COMPANIES NEVER GIVE IN)です。そのリサーチは2005年から開始されましたが、出版された2009年(日本版は2010年)はおりしもリーマンショックに全世界が揺らぐ時期でした。

 いかに偉大な永続企業であっても、その原理原則を忘れればその座から転落する--第一段階として「成功から生まれる傲慢」に陥り、第二段階で「規律なき拡大路線」に走り、第三段階として「リスクと問題の否認」が社内に蔓延し、第四段階には「一発逆転の追求」に走る。そしてついには、第五段階として「屈服と凡庸な企業への転落か消滅」が待っている、と。段階ごとに警鐘を鳴らしつつ、最後に、ここからどう復活し得るのかについても解明しているのがジム・コリンズらしいと思います。

今回の社長を目指す法則・方程式:

ジム・コリンズ「針鼠の概念と三つの円」「弾み車を回す」

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