社長を目指す方程式

偉大な企業を創った経営者たちが絶対に妥協しない「3つの円」とは (3/4ページ)

井上和幸
井上和幸

 現時点でシリーズ最新作となっているのが『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』(原書名:GREAT BY CHOICE)、発刊は米国2011年・日本2012年です。前3作から更に無秩序化する世界の中で、企業や経営者はどうそれを切り抜ければ良いのか。出版から7年が経ちましたが、まさに今私たちが最も知りたいことですね。そういう意味では現時点ではこの「4」まででビジョナリー・カンパニーシリーズが出すべき回答は提出されているとも言えそうです。

 ジム・コリンズは、不安定な環境下、脆弱な経営基盤からスタートし目覚ましい成長を遂げ偉大な企業になった企業を「10X(十倍)型企業」、それを率い成し遂げた経営者を「10X型リーダー」と命名。10Xリーダーは「レベルファイブの野心」を持ち、主要行動パターン「3点セット」を備えていると分析。3点セットとは「狂信的規律」(二十マイル行進)、「実証的創造力」(銃撃に続いて大砲発射)、「建設的パラノイア」(死線を避けるリーダーシップ)です。

 そして具体的で整然とした一貫レシピ(SMaC)を持ち、運の利益率(ROL)を高め、何より重要なことは「自分の意志で偉大になる」ことなのだと、ジム・コリンズは総括します。痺れますね。

 絶対に妥協してはいけない、3つのこと

 さて『ビジョナリー・カンパニー』シリーズ全4冊を概観し、偉大な企業の創り方、永続のさせ方、危機回避について見ましたが、中でもぜひ皆さんに、令和スタートに当たって特に着目いただきたい部分が、今回のテーマとした、事業をブレイクスルーさせる「3つの円」です。

 それは、

 「情熱をもって取り組めるもの」

 「自社が世界一になれる部分」

 「経済的原動力になるもの」

 の3つ。先にご紹介しました『ビジョナリー・カンパニー2』の中の「針鼠の概念と三つの円」がこれに当たります。

 「情熱をもって取り組めるのは何か。偉大な企業は、情熱をかきたてられる事業に焦点を絞っている。どうすれば熱意を刺激できるかではなく、どのような事業になら情熱をもっているかを見つけ出すことがカギになっている」

 「自社が世界一になれる部分はどこか(同様に重要な点として、世界一になれない部分はどこか)。この基準は、中核的能力(コア・コンピタンス)がどこにあるかよりもはるかに厳しい。中核的能力があっても、その部分で世界一になれるとは限らない。逆に、世界一になれる部分は、その時点で従事していない事業かもしれない」

 「経済的原動力になるのは何か。飛躍した企業はいずれも、鋭い分析によって、キャッシュフローと利益を継続的に大量に生み出すもっとも効率的な方法を見抜いている。具体的には、財務実績に最大の影響を与える分母をたったひとつ選んで、「X当たり利益」という形で目標を設定している」--ジム・コリンズ『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』

 偉大な組織、企業はこの「単純で一貫した概念」に一致する優れた決定を幾つも積み重ねていくことで築かれるのだと、ジム・コリンズは断言します。

 これは、最近取り上げられることの多くなった「3つの輪」の企業版・事業版とも言えるでしょう。

 「やりたいこと」「できること」「求められること=結果として提供価値が出せること」の重なりの中に、個人であれ、組織・企業であれ、そのベストパフォーマンスが存在するのです。

 ジム・コリンズは、この3つを特定することについて一切の妥協を許していません。

今回の社長を目指す法則・方程式:

ジム・コリンズ「針鼠の概念と三つの円」「弾み車を回す」

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus