第7の栄養素としての「核酸」に着目
フォーデイズが創業された1997年は、アジア通貨危機が発生した年。低迷を続ける日本経済にとって大きな痛手となった。勤めていた会社の将来に不安を感じた和田氏は、思い切って自分で会社を興し、アルバイトと2人で健康腹巻のネットワーク・ビジネス
をスタートさせた。
「2年間は全く売り上げが伸びない状態でした。健康腹巻のような耐久消費財はリピートが少ない。しかも、無店舗販売は攻めの商売なのに、新商品が出たり役立つ情報がなければお客さまのところへ伺うきっかけがつくれないんです。会社勤めのころの、出せば売れるという感覚とは全く違っていました」
そこで考えたのが、繰り返し繰り返し求められる消耗品の開発だ。もともと和田氏は、化粧品会社を皮切りに女性を対象とした商材を扱ってきた経験の持ち主。女性をターゲットとするならキーワードは「キレイになる」しかないと、当時注目を集め始めていたコラーゲン商品の開発に着手した。
「今までにない新しいコラーゲン商品をと画策していたときにたまたま出会ったのが核酸でした。当時の私は、核酸が何なのか、どのような効果があるのか、ビジネスになるのかまったくわからない状態。しかし、それが遺伝子を構成する重要な物質であり、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維に続く第7の栄養素として注目されていることを知り、これなら必ず女性に認めてもらえると確信しました」
そうして生まれたのが核酸ドリンク「ナチュラルDNコラーゲン」。2000年、和田氏はこの自信作を、健康と美容をサポートする商品として販売開始し、翌年、いきなり5億円の年商となった。
キーワードは「健康」と「キレイ」
「ナチュラルDNコラーゲン」発売後、核酸の重要性を啓もうしていこうとさまざまな機会に講演会やセミナーを開いた。手応えのある反響も次々に得られるようになった。「そうした活動や販売を通じ、私たちは核酸を単にキレイになるためのものではなく、もっと重い、人の生命にまで関係するものとしてとらえるようになりました。病気を抱えている方のリピートが増えたり、大病を患ったことのある方が注目してくださったり、未病の状態にも働きかけてくれるといったお客さまの声が聞こえてきたことも、この商品に対する考え方を改める要因になったと思います」
ユーザーや会員が核酸を求める目的が「キレイになる」から「健康になる」へと変わってきたことで商品はより注目度を増し、発売2年目には37億円、3年目には74億円と売り上げを伸ばしていった。その後も化粧品やサプリメントなどの核酸製品を次々に開発し、いずれも大きな反響を呼ぶ。会員の増加とともに成長のスピードも増し、昨年度は年商311億円、さらに今年は320億円に達する予定だ。
「商品を売るのが仕事ですが、商品を通じてみなさまと接していると、商品を売る以上のものがもらえるんです。商品がこれだけ多くのみなさまのお役に立てているのかという感動、感謝の気持ち、お互いに信頼関係を築くことができた満足感。それを得られるのが、このビジネスをやっている大きな喜びです」
和田氏がビジネスの基本とするヒューマン・ネットワークは、こうした思いによってますます広がり、強固なものになっているのである。

代表取締役社長 和田佳子氏
わだ・けいこ 1956年生まれ。広島県出身。明治大学政経学部卒。一般企業勤務2年間を経て、ノエビアに転職。13年間の在職中、支店長、教育部、子会社役員を経験。外資系企業の営業部長に転じ2年間勤務。1998年フォーデイズ株式会社を設立、代表取締役社長に就任、現在に至る。2008年には株式会社エフワークス代表取締役にも就任。
この3月には独自のビジネスノウハウを明らかにした『なぜ9割もリピーターになるのか 新・日本型ビジネスモデル「商い」への回帰』(ダイヤモンド社刊)を上梓。
現場を飛び回り東京本社にいるのは、ひと月のうち10日ほど。そのため、移動中の小説などの読書は日課となっている。休日の映画鑑賞、そして2匹のかわいい犬たちと過ごす時間は心落ち着く至福の時。好きな言葉は、「起きて半畳、寝て一畳」。どんなすごい人でも生きるために必要なものは本当に少ない。逆境の時がきても、またここから始めればいいと勇気もくれる。この言葉を胸に刻み謙虚に自然体で日々を過ごしている。
会社メモ
フォーデイズ株式会社
本社=東京都中央区日本橋茅場町1-13-21
電話=03—5643—0651(代表)
資本金=4500万円
