スマホ急増で弊害表面化 架空請求、ウイルス… 環境整備追いつかず (1/3ページ)

2012.1.21 05:00

 爆発的に普及するスマートフォン(高機能携帯電話)にトラブルが相次いでいる。意図しない情報発信や架空請求、ウイルスなどを送り込むマルウエア(悪質なソフト)…。利便性が大幅に向上したスマホだが、セキュリティー環境が整わないまま急速に浸透したことで、さまざまな弊害が表面化した格好だ。携帯電話事業者はスマホの拡販に躍起だが、トラブルが深刻化すれば普及の妨げになり、経営に影を落とすリスクもはらむ。事業者は普及のスピードを上回る迅速な対応が求められている。

 相談件数3倍超

 「スマホで撮った室内の写真をブログにアップしたら位置情報を第三者に知られた」。昨年11月、東京都消費生活総合センターにこんな相談が寄せられた。相談主は50代の女性。ブログに掲載した写真のデータに緯度経度が載っており、インターネット上の地図から所在地が分かってしまうというのだ。

 これはスマホに衛星利用測位システム(GPS)機能がついていたため。位置情報の設定を切れば非表示にできる。旅行先などで写真の撮影場所が分かるのは便利だが、知らないと意図せず情報をさらしてしまう。

 同センターには今年度に入り1月4日現在で967件の相談が寄せられ、昨年度実績約300件の3倍以上にすでに達した。アダルトサイトなどの架空請求関連の相談が300件超で、ほかは故障・不具合、料金体系についての相談が多いという。全国から苦情が寄せられる国民生活センターでも今年度に入り2871件(1月20日現在、前年度同期は853件)に上る。

 都消費生活総合センターの金子俊一相談課長は「スマホの急速な普及で相談が増えている。(ネットなどの利用範囲が限定されていた)従来の携帯電話と違い小型パソコンと考えた方がよく、使い方をきちんと理解しないといけない」と警告する。