家電不況、ガラス大手の業績波及 液晶、太陽電池用に打撃 (2/3ページ)

2012.5.8 05:00

 液晶などフラットパネルディスプレー(FPD)市場はかつて年率30%台の高い成長を記録し収益拡大に貢献してきたが、ここにきて世界的にブラウン管からの置き換え需要が一巡して昨年ごろから成長率が鈍化。加えて、液晶テレビの価格下落に伴う部材メーカーへの値下げ圧力が強まり、ガラス基板の価格も下落傾向だ。

 このため、日本電気硝子の12年3月期連結決算は「(昨年)夏場以降、ガラス基板の販売が計画を下回ったうえ、価格も想定以上に下落した」(広報)ことで大幅な減収減益を余儀なくされた。同社の場合、液晶用ガラス基板が中心の電子・情報用ガラス部門の売上高が全体の約8割を占めることが響いた。

 反転攻勢に期待も

 液晶市場の不振は、国内ガラス業界で“ガリバー”とも評される最大手の旭硝子も直撃した。同社は建築用・自動車用ガラスや化学品など幅広い需要分野を持つが、営業利益の約8割は液晶用ガラス基板を主体とする電子部門が稼ぐ構造だ。このため、11年12月期連結決算は営業利益、最終利益とも前期比2割超の減。12年12月期も減益予想だ。

 価格下落を防ごうと、同社はガラス基板の減産にも乗り出した。「供給先と粘り強く交渉して価格下落を極力抑える」(石村和彦社長)ため、今年2月時点で京浜工場(横浜市鶴見区)の生産を一時休止するなど昨秋から全社で3割程度の減産を行ったほか、生産効率向上でコスト競争力を強化。石村社長は「12年をボトム(底)とし、13年からは反転できる形を取りたい」と強調し、FPD市場の今後についても、「中長期では(年率)10%の需要増が見込める」と反転攻勢の時期を待つ。