東電の株主総会は、冒頭から勝俣恒久会長の議長解任動議が出るなど、大荒れの様相で始まった。会場の怒声が拍手に変わったのは、東京都の猪瀬直樹副知事が料金値上げ根拠の明確化を求めマイクを握った瞬間だった。
政策に批判も
「(公的資金を資本注入した)りそな銀行や日本航空は経営再建中の(ボーナス)支給をやめていた」
猪瀬氏は、他社の例を引き合いに、東電が値上げ後の料金原価に冬のボーナスを組み込んでいることを糾弾。東電が社員やその家族しか診察しない東電病院(東京都新宿区)の入院ベッド利用率がわずか2割であることも明らかにし、さらなる合理化を迫った。
これに東電側が、周囲に大病院が多いことを理由に都から一般病院への変更認可が認められないと説明すると、猪瀬氏は「挑戦的な言い方だ」と“激高”。しかし、この提案は反対多数で否決された。
会場からは「脱原発」を求める声も多く、福島県に住むという女性株主は「役員は福島に居を移し、被災者の苦悩を肌で感じてほしい」と訴えた。新潟県からの株主は、柏崎刈羽原発のガス火力発電所への転換を提案。勝俣氏は「業務の執行に関わる話」として理解を求めた。