半導体大手のロームが、燃料電池ベンチャーのアクアフェアリー(京都市)、京大と共同で、水との化学反応で発電する水素燃料電池の開発に成功した。
水素化カルシウムを入れたカートリッジをシート状にして搭載、小さくて軽量な上、環境にもやさしいのが特徴だ。ロームは2013年春に、まずは地震計用の電源として発売し、その後製品ラインアップを拡充していく方針だ。
開発した燃料電池シートは38ミリ四方で、重さは3グラム。水素化カルシウムは水素化マグネシウムなどと比べると、水を加えたときの反応に優れるものの、安定的に発電させるのが難しいとされてきた。それをシート状に加工した上で、樹脂でコーティングするなどし、コントロールを効かせながら発電できるようにした。
シート1枚に対し、数グラムの水で湿らせると約4.5リットルの水素が発生し、5ワット時の電力が生まれる。二酸化炭素や有毒ガスを出さず、一般廃棄物として捨てることもできる。シートはアルミでラミネート加工されているため、エネルギーのロスがなく、20年以上の長期保存にも耐えるという。