電力ケーブルに使用する銅線に代わる「超電導線」に期待が高まっている。送電ロスが銅線に比べ約半分に軽減されるからだ。約100年前オランダの物理学者が発見して以降、電気抵抗がゼロにできるなどの特長を持つ一方、実現が困難で「夢の超電導」と呼ばれてきた。電力を無駄なく送電できる超電導線は、日本が抱える電力問題を救う大きな一助となりそうだ。
実用化の障壁は超低温
超電導と呼ばれる現象は、1911年、オランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オネスが発見した。電気抵抗はなくならないものとされていたが、オネスは温度がマイナス269度以下になると水銀の電気抵抗がゼロになり、電圧をかけなくても電流が流れ続けることを発見した。
電気抵抗とは電流の流れにくさを示す。電気抵抗があると電力は熱エネルギーにかわり、エネルギーを損失してしまう。電気抵抗ゼロの超電導は電力ケーブルに使用するには最適だ。