特許切れのノウハウを使う低価格の後発医薬品(ジェネリック)の国内市場をめぐり、武田薬品工業やアステラス製薬など国内製薬大手が戦略の見直しを迫られるかもしれない。
外資大手を含めた後発薬専業メーカーとの価格競争や経営資源の分散などを敬遠し、製薬大手は後発薬事業の国内展開に慎重だ。だが、政府内では次期薬価改定に向けて、後発薬への代替が進まない先発薬の価格を引き下げる新たな医療費抑制策が検討されている。改定の行方によっては大手の収益が大きく下押しされる可能性もありそうだ。
“薄利多売”には慎重
「安価で利幅の小さい後発薬は薄利多売。中間層が増えている新興国では供給を拡大していくが、日本では使い慣れた長期収載品(特許が切れた先発薬)の方が信頼を得ている」。こう話すのは最大手の武田薬品だ。
同社は2011年に、新薬と後発薬の両方を手がけるスイス製薬大手のナイコメッドを約1兆円で買収。昨年は後発薬に強いブラジルの中堅製薬会社のマルチラブも買収し、後発薬事業の競争力強化を成長戦略の一つの柱に位置付ける。