住友化学の千葉工場にあるエチレン製造設備=千葉県市原市【拡大】
住友化学は1日、千葉工場(千葉県市原市)のエチレン製造設備を2015年9月までに停止すると発表した。エチレンは合成樹脂など石油化学製品の基礎原料で、国内需要の低迷や割安な輸入品の増加などで採算が悪化していた。同社が国内に持つ唯一の設備の停止により、エチレンの国内生産からの事実上の撤退となる。
一方、三井化学は同日、丸善石油化学、住友化学と共同運営するエチレン生産会社「京葉エチレン」から、14年度末をめどに離脱すると発表した。中国や中東などで設備増強が相次ぐなか、コスト競争力を失った日本勢は過剰設備の整理を迫られていた。大手2社が具体策を打ち出したことで、国内設備の再編が加速しそうだ。
住友化学は千葉でのエチレン生産停止後、京葉エチレンからの調達量を増やし、収益性の高い高機能樹脂などの生産を続ける。エチレンとその誘導品の製造に当たる従業員約250人は配置転換などで雇用を維持する。住友化学の十倉雅和社長は同日、都内で会見し「誘導品の高付加価値化を進めるなどして千葉工場全体を再編し、100億円前後の合理化を目指す」と述べた。