社長交代のシャープ 求心力高め、海外事業強化へ

2013.5.13 21:20

 シャープの奥田隆司社長が就任からわずか1年3カ月で異例のトップ交代となる背景には、大胆なリストラに踏み込んだにも関わらず業績不振から抜け出せない経営責任を明確化し、社内の求心力を高める狙いがある。さらに海外経験豊富な高橋興三副社長をトップに起用し出遅れた海外事業を強化、経営再建を加速させる。

 奥田氏が社長に就任してから、人員削減を含むリストラを実行したものの業績の下方修正が相次いだ。社内外からは奥田氏に対し、再建計画の遅れの責任を問う声が強まっていた。

 シャープは主力の液晶テレビで国内シェアは高いものの、成長市場の海外での販売力が弱いことが業績低迷の原因となった。資本業務提携した韓国サムスン電子など液晶パネルの新たな供給先の拡大や、東南アジアで白物家電の生産販売の強化なども喫緊の課題。高橋氏は海外事業に精通しており、適任と判断した。

 ただ、海外の大手企業とパイプを持ち、米クアルコムやサムスンからの出資交渉を主導した片山幹雄会長が退任することで、他社との資本業務提携交渉が難航する恐れもある。平成24年末時点でシャープは財務の健全性を示す自己資本比率が9・6%まで低下。早急に資本増強を実施する必要があるが、出資引き受け先確保の課題は残されたままだ。資本増強のため公募増資も検討しているが、実現のためには株価の回復が不可欠。新体制では、業績改善の道筋を市場に明確に示す必要がある。

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