スイスの食品・飲料世界最大手ネスレは、シンガポールの研究開発拠点を拡張・強化した。経済成長が続くアジア市場の拡大を視野に、新製品の開発などに注力するのが目的だ。現地紙トゥデーなどが報じた。
ネスレはシンガポールの研究開発拠点に550万シンガポール(S)ドル(約4億3700万円)を投じて施設を拡張し、研究員を20人増の120人とした。
今後はインドネシア・フィリピン・マレーシアといった成長市場の消費者の好みに合った新製品の開発にあたるほか、世界で販売する主力製品のインスタントコーヒー「ネスカフェ」と麦芽飲料「ミロ」の改良などを行う。同社幹部は「アジアには特に注目し、今回の拡張で成長市場の消費者に密着する戦略が一段階進む」と述べた。
食品・飲料を含むアジア地域の消費財市場は今後、急速に拡大する見込み。シンガポール政府は世界の中間層の年間消費額が2009年の21兆米ドル(約2110兆円)から30年に55兆米ドルになると予想。アジア市場が成長の8割を占めるとみて、消費財各社の誘致に力を入れている。
同国内には11年に飲料世界大手の米コカ・コーラが7200万Sドルの製造工場を完成させたほか、来年には粉ミルク世界大手の米ミード・ジョンソン・ニュートリションの4億900万Sドル規模の研究開発施設が完工予定となっている。(シンガポール支局)